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創り手たちのStory

Home > 創り手たちのStory #036 有限会社 山谷製作所

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#036 有限会社 山谷製作所2015/05/25

現代のライフスタイルに合った新しい和の形を提案する〈鰹節削り器〉

食卓に「鰹節削り器」のある暮らしを

“煎りたてのコーヒーを楽しむように、削りたてのチーズを楽しむように、食卓で削りたての鰹節を楽しむ方が増えています”

<台屋>公式サイトのトップページに記されているメッセージです。<台屋>は、これまでにないスタイリッシュな鰹節削り器で注目を集めています。

削りたての鰹節を炊きたてのごはんにのせて、ちょろりと醤油をかけていただく。シンプルだけど、最高に贅沢で幸福な時間。<台屋>が鰹節削り器を通じて提案するのは、いま多くの日本人が求めているていねいで心豊かな暮らしです。

奇をてらわず、凛とした佇まいの〈台屋〉の鰹節削り器。高級家具に使われるウォールナット材やブナ材を使用し、インテリアにさりげなく溶け込むように工夫されています

70年の歴史がある「鉋台」メーカー

<台屋>を運営する有限会社山谷製作所は、ものづくりの町として知られる新潟県三条市にあります。創業は1946年。約70年もの間、鉋(かんな)の木の部分である”鉋台”をつくり続けてきたメーカーです。

江戸時代から刃物鍛冶が盛んだった三条市では、同社の創業から戦後の高度成長期にかけては鉋鍛冶(かんなかじ)の数も多く、鉋台の製造会社も70社ほどありました。しかし、時代の変化で鉋の需要が激減し、いまでは10数社に。職人の高齢化も深刻です。

「うちもずっと鉋台一筋だったのですが、これからは新しいことに挑戦していかねば生き残れない。もともと工夫をするのは好きなんですよ。鉋もプロ用、教材用、一般用と、それぞれに使いやすさを追求してきました。積み重ねてきた技術を活かし、まずはいまの時代に合う大工道具の開発から始めました」と二代目の代表取締役社長・山谷俊男さん。

「鉋は刃と台をそれぞれ専門の職人が製造しており、刃をつくるほうは鉋鍛冶、台をつくる我々は台屋と呼ばれていたんですよ。歴史ある呼び名です」とブランド名の由来について語る山谷俊男社長

2000年に〈六兵衛〉のブランド名で、石膏ボードを削る「ボード用カンナ」を開発。続いて2004年には「丸のこ用定規」を開発しました。ともに現場の大工さんの声に耳を傾け、試行錯誤の末に創り出した自信作。便利な大工道具として、専門店はもちろんDIY向けのホームセンター等でもヒットしています。

「鉋」をつくる技術を食文化に活かす

職人気質の二代目を支えているのが、三代目である専務・山谷俊輔さんです。学生時代は家業を継ぐ気はなく、他業種に就職しましたが、やはり思い直して15年前に同社に入社しました。

〈台屋〉責任者の山谷俊輔専務。ネットショップの立ち上げや業界初の試し削りをしてからの出荷、メンテナンス用の木槌の開発など、お客様視点のアイデアと実行力で新規事業を牽引しています

「鉋鍛冶による手づくりの鉋刃は、一枚一枚、厚みやクセがちがいます。その鉋刃を台に仕込む技術は一朝一夕にできることではなく、やはり次世代に継承せねばという思いがありました。でも、鉋はこの先、需要が伸びると思えない。じゃあ、どうする? 何をつくる? と頭を悩ませる日々でした」と俊輔さん。

技術を後世に伝えるためにも、大工道具に限らず、もっと視野を広げた製品づくりができないだろうか……。そんな折、「和食 日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産として登録されたというニュースが飛び込んできました。2013年12月のことです。

「やはりこれだ、と思いました。なんといっても鰹節削り器は、鉋が命なのです」

じつは、山谷製作所では長年、鰹節削り器用の鉋をOEM生産していました。しかし、木工の技術があるにもかかわらず、ずっと「箱」部分の製造は行なってきませんでした。製造しても売り先のあてがなく、二の足を踏んでいたのです。

「しかし、和食の良さが見直されるなかで、私たちもその文化により貢献したいと考えるようになりました。これまでにない鰹節削り器をつくり、新しい価値を提供したい。鰹節削り器が家庭から消えて久しいですが、だからこそ削りたての鰹節の香り豊かな味わいは新鮮で、チャンスがあると感じました」

2年前から次男の浩平さんもこの道へ。高級な鉋にほどこされる「つつみぼり」などの高度な技を親方(山谷社長)から学んでいます

 

つつみぼりができる職人は全国でも10人ほど。非常に手間のかかる仕込みですが、日本人の美意識を感じる技です

 

鉋刃が収まる部分は機械でおおまかに削り、手作業で鉋刃にフィットするように仕上げていきます

既成概念を翻したスタイリッシュなデザイン

鰹節削り器といえば、桐材の箱でできた引き出し付のものが一般的です。<台屋>の鰹節削り器は、そのイメージを一新するシームレス(継ぎ目なし)のコンパクトな無垢材の箱です。なぜでしょうか?

「現代の住宅事情やライフスタイルに合う形を追求した結果です。従来型は大きくて家庭の台所には収まりにくく、せっかく買っても目の届かないところに仕舞ってしまい使わなくなるという話を聞いたことがありました。そこで、いつでもすぐに使えるところに置いていただけるよう、高さを従来の2分の1に、デザインもシンプルな美しさや木肌の心地よい触り心地にこだわりました」

 

箱を開くと、このように鉋が収められています。全製品試し削りをして調整してから出荷するため、商品が届いたらすぐに削ることができます。試し削りをした削り節は商品と共に同封。他にはないサービスがお客様に喜ばれています

 

削り節を取り出す「すべり台」も業界初。鉋台を鉋刃に合わせて斜めに彫る技術の応用で、「うちの技術を入れたらどうだい?」という山谷社長の一言から俊輔専務が発想しました

コンパクトでありながら48ミリサイズの刃を使用し、問題なく削ることができます。むしろ、椅子に腰かけてテーブルで削る際に使いやすくなり、お子さんでも削りやすくなりました。従来の鰹節削り器は、昔の日本人の床に座る生活の中で洗練された形だったのです。「鰹節削り器とはこういうもの」という既成概念を翻した発想でした。

「無垢材を削り出して箱をつくるのは、私たち鉋台職人の得意技です。見た目が良いだけではなく、頑丈で壊れにくいんですよ。削った後の鰹節を取り出すすべり台も鉋台の技術の応用です」と山谷社長。匠の技術とデザインの融合が評価され、「ニイガタIDSデザインコンペティション2015」で審査委員賞を受賞しました。

販路は模索中ですが、自社ネットショップで購入したお客様からは「こんな鰹節削り器を探していた!」という嬉しい声が相次ぎ、ギフト需要も好調。口コミで評判が広がっています。

今年初出展した「東京インターナショナル・ギフト・ショー春2015」では、女性バイヤーが「思い切って鰹節削り器を購入したけど、すこし待って台屋さんの製品にすればよかった」と苦笑いする一幕も。伝統が見直されて本格的な鰹だしをとる人々が増えるなかで、スタイリッシュな鰹節削り器はますます話題になりそうです。

 

本職の大工さんが使う高級鉋と同じ製法で打ち出された青紙という鋼(はがね)を使用。よりコスト面に配慮した切れ味のいいSK鋼を用いた製品もあります

 

鉋に使う木は白樫。数年間乾燥させることにより、色がより白く、変形しにくい鉋台となります

和食が人気のフランスでは、近々鰹節の製造工場が建設される予定があるため、「鰹節があるなら削る道具も必要だろう」と海外展開も視野に入れています。

「Rin crossingに期待するのは、やはり販路の開拓です。私たちはお客様により良い商品をお届けするという使命のほかに、いまある高い技術を後世に残すという使命があります。職人の技を知ってもらい、より多くの方に愛着をもって使ってもらうことで、ものづくりは発展します。私たちの考えにご賛同いただけるバイヤーさんと出会えたらうれしいですね」

「国際見本市インテリア ライフスタイル」に出展します

2015年6月10日(水)〜12日(金)、東京ビッグサイトにて開催されるインテリア・デザイン市場のための「国際見本市インテリア ライフスタイル」に、Rin crossingがブースを出展します。

山谷製作所の「台屋の鰹節削り器」ほか、Rin crossing参加メーカー約30社の商品を実際に手にとってみるチャンスです。ぜひ、お越しください。

インテリアライフスタイル公式サイト

有限会社 山谷製作所
(ユウゲンガイシャ ヤマタニセイサクショ)

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