The Place of Discovery Rin Crossing

menu

menu

登録メーカー
239社
登録バイヤー
国内:638名/海外:504名

詳細へ

創り手たちのStory

Home > 創り手たちのStory #053 有限会社 金照堂

  • いいね!

#053 有限会社 金照堂:有田焼【佐賀】2016/10/25

400年の歴史を受け継ぐ現代の有田で生み出した新しい伝統工芸のカタチを、有田から世界へ〈有田焼〉

日本で初めて磁器が焼かれた有田焼の町で
現代の暮らしを彩る器を発信する

煉瓦造りの煙突がそこここに並ぶ有田の町並みを車窓から眺めながら訪れたのは、有田焼卸団地「有田陶磁の里プラザ」に位置する有限会社金照堂の店舗。400年前、日本の磁器が生まれた歴史ある有田町で、昭和36年から有田焼や波佐見焼の陶磁器の卸問屋を営んでいます。約60坪ほどの広い店内には、伝統的な有田焼の技術でつくられた高級品からカジュアルな日常使いの器、デザイン性の高いものまで、実に多種多様な陶磁器が並び、訪れる人を魅了しています。有田焼の湯呑に丁寧に淹れられた日本茶でほっと一息ついてから、同社代表取締役の金子真爾さんにお話を伺いました。

400年の歴史を誇る有田焼の販売会社22社が軒を連ねる有田焼卸団地「有田陶磁の里プラザ」

かつてはロイヤルコペンハーゲンなど欧米の有名陶磁器にも影響を与えたほどの有田焼は、長い歴史と伝統に裏打ちされた日本が誇る伝統工芸です。そんな文化を育んできた有田では、古くから窯元と商人の役割が分けられていました。昭和40、50年代の景気は右肩上がりで、卸団地ができたのもちょうどそのころだといいます。

赤や緑、黄、青など鮮やかな絵の具と金彩で絢爛豪華に模様を描いた、古伊万里金襴手様式の火鉢

 

透き通るような白磁の美しさと、繊細で華やかな絵付が特徴の伝統的な有田焼の陶磁器

 

古典的な壷や大皿など高価なものから現代の暮らしにあうカジュアルな器まで、多様な商品が並ぶ広い店内

「10年ほど前からでしょうか、新しいものを出しても思うように売れなくなってきたんですよ。そこでそれまでの固定概念を一度捨てて、窯元や赤絵師と手をとりあって、オリジナル商品の開発に乗り出したんです」と金子さんは語ります。

「伝統にとらわれすぎずに、新たな試みにチャレンジしたい」と語る代表取締役の金子真爾氏

有田焼というモノだけでなく
器に込められた“コト”や“意味合い”を売る技

古典的な伝統文様だけでは、飽和状態にある市場で生き残れないと、金子さんは古典柄に現代の感性をプラスしたオリジナルデザインを考案し、「風けもん」シリーズや「花鳥風月」シリーズを発売。そして、2011年には観光庁「魅力ある日本のみやげコンテスト」に「富士山ペアぐい呑」を出品します。

昔から有田で“日夜かまわず窯焚きに没頭する(呆ける)人”を「ふうけもん」と呼んできたことから、その心を受け継いで新しい発見を目指すという想いが込められた「風けもん」シリーズ

起死回生を狙って「魅力ある日本のみやげコンテスト」に出品した「富士山ペアぐい呑」

この斬新なアイデアとデザイン性の高い器が評価され、「韓国賞・イギリス賞」を受賞。折しも富士山は世界遺産認定によって世界的な注目度も一挙に高まり、そこにギフト・ショーへの初出展も重なって、金照堂の器が大好評を博しました。「先代の親父が導いてくれたように感じましたよ。はじめは本流から外れることに抵抗がありましたが、固定概念にとらわれずに一歩踏み出して正解でした」。

約70年にわたって、多くの職人の手で有田焼をつくり続けている金善製陶所

 

繊細でモダンな柄を、器の曲面にもきれにプリントすることができる

 

約1300度で高温焼成される磁器は、陶器よりも丈夫で日常使いに適している

以来金照堂では、単なる商品としてのモノではなく、デザインや上絵付けの柄に意味合いを持たせ、“コト”を売るものづくりを心掛けてきたのだといいます。ただ、新しい商品を出すと反響はあるものの、数年で流れが変わるという流行廃れの波に悩まされます。
「一時の危機的な状況からは脱したものの、次なる一手を考えあぐねていたんです。そんなとき私どもの出展していた展示会で、色彩豊かな南部鉄器が海外で大好評を博しているのを目にしたんですよ。そこで、日本的ながらも新しさのあるこの世界感を、やきものでも表現できないか、とひらめきました。400年を迎えようとしていた有田焼にも、インパクトのある斬新な新ブランドの必要性を感じていましたから」と金子さん。それから、窯元や赤絵師と相談しながら、新ブランドの可能性を求め、試作を重ねてゆきました。

有田焼の上絵付けを専門に手掛ける赤絵師の工房

上絵付け一筋40年の熟練職人による手仕事は、仕上がりの表情がひと際美しい

有田焼を次の100年へ繋ぐために
メーカーとして産業基盤を築く

こうして有田焼創業400年記念企画として誕生したのが「麟 Lin」シリーズです。まるで金属のような幻想的な光彩とエッジの利いた表面の質感をまとったこの器は、一見すると新しい釉薬か金彩を施したかのような佇まいですが、上絵付けによる手仕事によって、独特の表情を実現しています。

明治から昭和初期に活躍した有田焼赤絵師 金子麟蔵氏へのオマージュから生まれた「麟 Linシリーズ」

幻想的な光彩とエッジの利いた表面の質感で、海外からの注目も高まっている

2015年秋の展示会へ出展したところ、手応えは上々で次々に商談がまとまったといいます。また海外の百貨店やインバウンド(外国人旅行者)からの反応もよく、海外への販路拡大の可能性も見えてきました。現在も新色やデザインを次々と発表し、有田焼の新境地を拓くブランドとして期待が高まっています。
「Rin crossingでも今後、海外への販路拡大につながるチャンスをつくっていただけるとうれしいですね。私たち自身も 今年からNY NOWへ出展してテストマーケティングを行い、可能性を広げていきたいと思います」と意欲的に語ります。

神秘的な空気感が漂うエメラルドは、今シーズンの新色

「そして、この新しい流れを生み出すことができたのは、有田の窯元やデザイナー、赤絵師と手を携えて取り組んだから。今後のモノづくりには、職人の技術だけではなく、デザインや現代の市場をよく知る若者の眼も必要だと感じます。いま、有田のモノづくりは岐路に立っています。採石場、窯元、赤絵師、卸問屋、このすべての産業基盤を確保しておかなければ、有田焼の未来はありませんから」と一歩先を見据えて、チャレンジを続ける金子さん。

かつて海外の人々を魅了した有田焼が、新たな意匠を身にまとって、再び世界へ名を馳せる日もきっと遠くないに違いありません。

有限会社 金照堂
(ユウゲンガイシャ キンショウドウ)

ページトップへ