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創り手たちのStory

Home > 創り手たちのStory #007 (山田兄弟製紙株式会社)

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#007 山田兄弟製紙株式会社2013/01/08

“端紙”を再利用したレトロで洗練された和紙文具

“和紙の里”から発信する、現代に息づく和紙

今から1500年前、川の上流に美しい姫が現れ「この村里は谷間で田畑が少なく暮らしにくいが、清らかな谷水に恵まれているから紙を漉けば生活は楽になるだろう」と紙の漉き方を教えてくれた───そんな伝説が残る越前和紙の里・福井県越前市。山田兄弟製紙株式会社は、伝統的な雲華紙などはもちろん、環境にやさしいヨシ紙の製造・販売に力を入れていることでも知られる老舗メーカーです。

「明治15年、曾祖父・山田久兵衛が養蚕業から製紙業に転じ、奉書漉きを始めました。曾祖母が紙漉きの名人だったことがきっかけだそうです。越前和紙の漉き手は全国的にもめずらしく女性が多いんですよ。女性の地位が高いんです(笑)」と柔和な笑顔を見せる4代目代表取締役社長の山田晃裕さん。奥様の京代さん、熟練の職人さんたちと共に、現代にもっと和紙が息づくような商品開発に取り組んでいます。

代表取締役社長の山田晃裕さんと、奥様の京代(たかよ)さん

同社の転機となったのは、2009年に実施された株券の電子化でした。株券用紙は越前和紙製造の5社で日本の株券発行社数の98%を受注しており、同社はそのうちの1社だったのです。

「株券は売上げの半分以上を占めていました。ニッチですが安定した商売で、バブル崩壊後も危機感はなかったのです。ところが株券の電子化で、一気に危機に陥りました」と山田社長。

環境にやさしい「ヨシ紙」をビジネスに

行政から知らせを受けたのは2004年。5年後に備えて新事業の構築を促されましたが、すぐさま思いつくものではありません。一体どうしたら……。悩む山田社長に一本の電話がかかってきました。ある企業から「ヨシ紙」を使った封筒の大量発注があったのです。

湿地帯に多く生息する草本植物「ヨシ」には、水質を浄化する作用や土壌を強化して河川敷の侵食を防ぐ役割があり、毎年刈り取ってヨシ紙に活用することで環境保全に役立ちます。同社は2001年から、このヨシ紙の製造に取り組んでいました。

「あの頃はまだ環境問題がビジネスにつながらない時代。加工の手間から価格が通常の紙の3倍になってしまうこともあり、まったく売れずに在庫が溜まる一方でした。環境のため採算度外視で取り組んでいましたが、もうそんな余裕はなく、手を引こうと決めた矢先の大量発注だったのです。続けて大手文具メーカーからヨシ紙での商品開発に協力してほしいという依頼がありました。急速に時代が変わり、ヨシ紙が注目され始めている。これは諦めずにビジネスに生かせということかなと感じたのです」と山田社長。

大きなコンクリートのプールの中に原料を流し込み、上げ車(歯のついた車)を沈めて繊維を細かく叩きます。「ここでの仕上がりが80%、紙の良さを決めます。当社のプールは250kgも容量があり、小ロットに対応しにくいのですが、大きい方が品質が安定するんですよ」と京代さん

紙漉きに機械を導入し、事業規模を拡大したのは山田社長の祖母。「酒屋の娘で商売のセンスがあったようです」と山田社長。当時の機械に改良を重ね、今も現役で稼働させています

もとより、技術と品質には自信があります。ヨシ紙、そして和紙という素材を、どうしたら売れる「商品」にできるか。社運をかけた挑戦が始まりました。

処分する“端紙”を活かした魅力的なモノづくり

現在、同社の看板となっている和紙文具ブランド〈久兵衛〉は、「越前和紙の"端紙"を活かしたい」という思いから誕生しました。中心となって商品開発に取り組んでいるのは京代さんです。

「和紙は、大きな紙にゴマ粒ほどのゴミが入っていても製品になりません。落ちこぼれの和紙かもしれないけれど充分きれいなのに悲しいなぁと思っていたところに、ヨシ紙の製品化で出会った中小機構のアドバイザーさんから、『処分する和紙を再利用して、レトロで高級感のある文具をつくってみては?』という提案があったのです。即座にピンときて、『やります!』と答えていました」と京代さん。

一枚一枚人の目で検品をして、小さなゴミやシワが入っていないかを確認。その検品に合格したものだけを、製品として出荷しています

こだわったのは、規格外の紙だから価格は半分、量は倍、4倍お得で質は上等というコンセプト。そして中身は端紙でも、顔(表紙)には高級な局紙を使い、思わず手に取りたくなるような魅力を醸し出すことでした。
「局紙は通常、つるりとしていますが、山田兄弟製紙の局紙はざらついた和紙の風合いを残した特殊なもので、うちでしか漉けません。長年培ってきた技術と伝統を多くの方に感じてもらいたかったのです」

 

〈久兵衛〉メモパッド。30枚×10種類、300枚を重ねた正四角形のデザインが人気。久兵衛シリーズはカタログ通販からスタートし、現在は青山にある福井県のアンテナショップ〈ふくい南青山291〉や〈渋谷ロフト〉などにも販路を拡げています

 

ヨシ紙と色紙を組み合わせた〈一筆箋〉は、リピートで買ってくださるファンが多い商品。「素朴なヨシ紙だけでは寂しいかなと色を合わせたのですが、シンプルなヨシ紙にお手紙を書き、色の紙を添えて出せるので便利なのだそうです。お客様の声から新たな使い方や商品開発のヒントをいただいています」

商品化まで約2年。メモパッドやノートなど、形や大きさ、厚みを変えて何十種類も試作を行いました。2011年に発売以来、狙い通り「レトロな雰囲気がいい」と文具好きのお客様や若い女性に支持され、売れ行き好調です。

暮らしに役立つ提案でニーズを創出

京代さんは、自社サイトやブログを活用して〈久兵衛〉シリーズを使った素敵なおもてなしの提案にも力を入れています。たとえば、〈久兵衛 便箋 A4判〉を使ってお箸の袋やブックカバーを折る方法、A3サイズの〈久兵衛 スケッチブック〉をランチョンマットやラッピング紙に活用するアイデアなど。お客様からのアイデアも掲載し、交流を図っています。

また、商品をすぐ店頭に並べてもらえるようにシュリンクまで内製し、JANコードを取得して商品につけて出荷しています。
販路開拓に奔走する山田社長には、「洗練されたブランドイメージを保ちながら、価格はお得に手に取りやすく」との思いがあります。

 

「メモやノートとして使うだけでは面白くない。暮らしに和紙を取り入れる提案をすることで、お客様に喜んでもらいながら売上げアップに繋げていきたいと思っています」と京代さん

 

洗練されたロゴデザインも人気の理由

「価格を抑えて利益を確保するには、直販が適しています。Rin crossingには、ショップバイヤーさんとの直接の出会いを期待しています。ご要望に応じてのオリジナル商品やコラボ商品、OEMにも積極的に取り組んでいますので、ぜひお声かけください」

山田兄弟製紙株式会社
(ヤマダケイテイセイシカブシキガイシャ)

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