The Place of Discovery Rin Crossing

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国内:733名/海外:514名

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Rin crossing Eye Rin crossingに期待を寄せる方々に、専門家の立場からいま求められる市場ニーズやものづくりへのヒントをお聞きします。

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レポート<Rin crossing 特別セミナー in Kansai
『そこに宝あり!~日本の地域素材の潜在力~』>2013/07/16

講師:
十三千鶴 氏(株式会社TCカンパニー 代表取締役)
能作克治 氏(株式会社能作 代表取締役社長)
石本和治 氏(1031ビジネス・コンサルティング代表/中小企業診断士)
日時:
2013年5月30日(木) 14:30~15:45
会場:
中小企業総合展会場内(インテックス大阪)ビジネスマッチングステージ

※時間の都合により、石本先生のお話は、展示交流会会場に移動しての開催となりました。ご参加いただけなかった皆さまにはお詫びいたします。

株式会社TCカンパニー
代表取締役 十三 千鶴 氏

ファッションビジネスを考える ~売れる商品、売れない商品の違い~

売れる商品と売れない商品は何が違うか?どのような考え方の元に売れる商品を作るかについてお話していきます。重要なことは消費者ニーズにいかに応えるかです。
そのためのチェックポイント①は、「商品を見直す」ことです。具体的には市場におけるポジションを明確にする。誰に向けて、どんなモノを、どのポジションの商品であるか。テイスト(ファッション性やトレンド志向など)、マインド(年齢、ヤング、キャリア向けなど)、グレード(価格帯など)の3つの切り口を明確化しているかをチェックする必要があります。
チェックポイント②は、「今の消費者の気分にあっているか」です。ファッションは時代を映す鏡といわれ、気分を表現するのがファッションです。デザイン、素材、シルエット、カラーなどトレンド情報を的確につかみ、ターゲットに落とし込めているかをチェックする必要があります。
チェックポイント③は、「消費者の購買動向(行動)を知る」ことです。消費者は目的、事があって物を買う傾向が強くなっています。たとえば、旅行に行くので、この商品を買う、という行動です。ライフスタイルを切り口として、ライフスタイルをテーマとした商品提供ができているかをチェックする必要があります。
チェックポイント④「憧れ~愛着へ」。SNS時代になり、口コミで商品を宣伝してくれることがあります。そのためには「共鳴」が必要です。愛着と商品の関わり、例えば女性の場合は「触感」が重要となります。消費者と作り手が共鳴する価値観を生み、消費者のメディア化、メディアとしての消費者マーケティングが活用できているかをチェックする必要があります。

シーズントレンドとは ~シーズントレンドはどのように生み出されるか~

シーズントレンド、つまりカラー、素材、スタイル、アイテムなど、そのトレンドは誰が仕掛けているのか、そしてどのようにして生み出されるのかについて、5つのプロセスをお話しします。
プロセス①「流行色の方向付け」。これは世界各国の有識者が集まって開かれる国際流行色委員会において2年後のインターカラーが発信されます。
プロセス②「トレンド情報の発信」。これは日本にもありますが、主に欧米のトレンド情報会社が1年後の情報を発信していきます。
プロセス③「素材の方向付け」。ニット関係は、エキスポフィル、テキスタイル展プルミエールビジョンなどで発信されます。
プロセス④「デザイン・コレクション」。パリ、ミラノ、日本等で開催され、メディアに乗せて、またはオピニオンリーダーにより発信されます。
プロセス⑤「小売店での商品展開」。
このようなプロセスによって発信されるシーズントレンドをキャッチしていきます。

VIEM・トレンド14’SS ~14年春夏トレンドを見る~

シーズントレンド14年の春夏の傾向をお話しします。まずは、カラーと素材の傾向について、一つはデジタル化です。テキスタイル、柄はデジタルとの関わりがとても深いです。すでに柄などは、デジタルでしか出来ないものも出ていますし、デジタルの誤差が生み出す、想定外のおもしろさもあったりします。次に地質学の考え方です。自然の鉱物、地層学が影響を及ぼすカラーや、例えば砂のざらつきなどです。次に植物の持つ、生々しさやセクシーさです。次にブラジルもトレンドの一つです。最近まで英国調がトレンドの一つでしたが、背景にはロンドン五輪がありました。ブラジルW杯、そしてリオデジャネイロ五輪を控えるブラジル・南米調も注目です。そして14年のカラーですが、自然から出る色目、光沢感などの人工がキーワードとなります。素材では、人工的要素が浮上します。
そしてテーマ&スタイルの傾向ですが、いくつかのイメージとしてポイントをお話しします。一つは、「Optical Modernism」キーワードはレトロフューチャニズム、デジタル、秩序、ポップなイメージです。ブラック&ホワイト、テクノ的な素材、きちっとしたシルエットなどが特徴です。次に「Handsome Woman」。これまでとの違いは、エロティックなメンズスタイルなどです。次に「Simple Summer」。ハリコシのある素材を使用し、フォルム&シルエットにこだわったシンプルなデザインが特徴です。次に「Soft Feminity」。立体的なカッティング、色はパステル系が特色です。次に「Sheer Delight Casual」。エレガントな素材をカジュアルに表現、サマーグレーが注目です。次に「Carnival」。夏のリゾート、先程もお話しした南米・ブラジルのイメージ、情熱的な要素は来年のキーワードになります。
14年春夏傾向、全体的には、色、柄は継続するものの素材傾向は、ネクストネイチャーをキーワードにテクノロジーとの関わりがより強くなり、機能性、快適性、一辺倒ではなく、自然とシンセティックの融合による新素材、新しい価値がポイントになります。
また、トレンドとはコレクションなどから流れてくるものとストリートから発信されるものと大きく2つありますが、日本のストリートファッションは、日本市場に大きな影響を及ぼしているのも特徴的です。
ガールズファッション、カワイイファッションはその代表といえます。こうした日本独自の特徴ともいえる今の傾向は今後も継続します。しかし、カワイイとは対象的な女性のイメージが、次のシーズンのファッション市場を塗り替えようとしています。
辛口系、大人モード志向が14年春夏トレンドとして注目されるでしょう。

株式会社能作
代表取締役社長 能作 克治 氏

的確な市場への商品投入 ~直接お客様と接している店員さんの意見が商品開発のヒント~

日本の伝統産業の売り上げは平成2年がピーク、高岡も平成2年には380億円あったのが、直近では120億と、1/3から1/4に落ち込んでいます。それは、ライフスタイルを無視しているからです。販路を延ばして分かったことは、的確な市場への商品投入が重要ということです。当初は、自分の商品がいくらで売られているか、どんな着色になって売られているのかも分からない状態でした。実際作ったものを誰が買い、どんな思いで使っているのかを知りたい、その思いを実現する機会が2001年に訪れました。あるコーディネーターとデザイナーと知り合い、能作が作っている商品を見せたら「これはすごい技術だよ、東京で展覧会をやってみない?」と言われたことがキッカケです。この時、さらに2つの出来事が起きました。一つは目黒にあるホテルのリニューアルを手がけていたデザイナーから特注照明のオーダーを、もう一つはある会社の展覧会のために、自分でデザインして手がけたベルを商品として扱わせてくれ、との申し出を受けたのです。
しかしいざベルを販売してみると、全く売れませんでした。なぜ売れなかったか?それは「日本ではベルを使う習慣がなかった」から。日本で売れているものを海外に持っていく、というのは間違いで、その国の文化や習慣に合わせたものを作らないと売れません。ベルはまさしくその通りで、日本では売れなかった。その後、ベルが格好いいからそれを風鈴にしてはどうかと、ある店員さんからの提案を受けて出した風鈴が売れたのです。商品に関してはユーザーに聞くより売っている店員に意見を聞いたほうが早い。店舗の女性の声を活かした商品開発と販路開拓を始めました。

素材の特性を最大限に活かす ~真似ではない独自の商品開発~

2004年から錫の開発を行い、自社開発をはじめてまだ10年。錫の開発を進めたのは、先ほどの店員さんから、金属で身近なものが作れないか?と提案を受け、「食器が欲しい」とのことで考えてからです。まだ錫の開発をしていなかったため、銅合金でと考えていましたが、食品衛生法で銅合金はダメということがわかり、錫で開発することに。ただ錫では有名なメーカーもあります。金属は硬いものだ、という認識があり、錫は非常に柔らかいので、当時は銅とか鉛とかアンチモニを入れて硬くして加工する、というのが一般的でした。ただ私は信条として真似をするのが大嫌いなので、高岡の鋳造技術なら、環境に優しく材質も良い100%錫のものがやれるんじゃないか、と考えたのがキッカケです。抗菌作用が強かったり、植物が長持ちする等が錫の特性。お酒を美味しくするのも特性です。一般のピュータと呼ばれる錫製品は硬くして加工するために合金にして、鋳型にはセメントや金属を使用し、最終的にろくろでピカピカに磨く。うちは純度99.995%以上の錫を使い、生型鋳造と新しく開発進行中のシリコーン鋳造で製作しています。特徴は加工をせずに鋳肌を生かすこと。

開発のキーワードは「素材」と「デザイン」 ~トータルデザインによるブランド構築~

能作の開発キーワードは「素材」と「デザイン」。「素材」というのは、いろいろな種類の金属の持ち味を最大限に活かすこと。「デザイン」は時代を捉えるものだと思っています。デザインを意識しないと「いいね」と言われません。私はこの1、2年くらい前までブランドを意識したことはありませんでした。純粋に「いいね」と言われるものづくりをしよう、という思いだけでやってきました。
錫は柔らかいのです。あるデザイナーから「能作さんの錫は曲がるのだから、曲げて使えば」と言われました。それまで錫が曲がるのは欠点だと思っていたので曲がるお皿なんてない、と思っていましたが、デザイナーの提案で曲がるシリーズができました。
デザイナーに対しては全部ロイヤリティ契約をしています。
そして展示会や店舗の内装は全て一人の人に任せる「トータルデザインによるブランド構築」を行っています。グラフィック、ウェブサイト、パッケージにしても全て同じ方に頼んでいます。見え方が統一できるので、イメージが浮かびやすくなります。

「もの」「こと」「こころ」を正直に伝えていく ~メディアへの評価獲得へ~

能作」のブランドとは何か、と言いますと、「もの」、「こと(伝統・素材等)」に加え、「こころ」も伝えようとしています。例えば能作展ではうちの職人が出ていろいろ説明します。「こころ」を聞きたいという人も増えています。
あとは産業メディア、ソーシャルメディアに評価され、構築されるのを理想としています。産業メディアではテレビや新聞に非常に多く取り上げられています。
開発を始めた2001年、県内の売上の95%が問屋さんからの仕事でした。2012年には問屋さんの仕事は20%になり、残りの80%が新しく築いたものになりました。一つだけ自慢できるのが、地元の問屋さんの流通を妨げないよう、問屋以外の商品を必ず県外に持ち込んでいること。先方さんが「取引をしたい」と言ってきた時に、「高岡の問屋さんと取引がありますか?」と聞きます。なければやりますよ、あればそこを通してください、としているのですが、流通も実は伝統だった、ということです。問屋さんと能作の取引額は、10年前も現在も同じで横ばいです。一方で、能作全体の売上は10年間で5倍に増えました。新しいもののおかげです。増えた売上というのは高岡にとっても新しい流通になります。

※能作氏の講演のより詳しい内容は、レポート<商品開発にCrossing!スペシャルディスカッション>でご覧いただけます。

1031ビジネス・コンサルティング代表/中小企業診断士
石本 和治 氏

キーワード①「ワイドレンズ論(イノベーション)~バリューチェーン、サプライチェーンの見直し~」

今後出てくる可能性がある話題の素材に「クモの糸」があります。このクモの糸は、鋼鉄の4倍の強度を持ち、ナイロンを上回る伸縮性、耐熱性などがあり、ファッションだけでなく、飛行機や車、エレクトロニクスなどにも活用される次世代のスーパー繊維です。
天然素材だけでも、新しい感性やトレンドを活かせば全く違う新しい商品と成り得ます。素材は変わらなくてもトレンドの活用如何によっては十分に通用する商品が生まれます。
能作さんのように伝統的な素材を、アイデアにより商品化した事例もあります。
では、それらを考える上で何が必要なのか、ノウハウや技術をどのように生かせば良いか。今、アメリカの大学で言われているのは「ワイドレンズ論」です。この論理は、失敗事例から生まれています。具体的には、システムが良くてもソフトが付いてこない、技術が良くてもハードが付いてこない、商品が良くてもそれをメンテナンスする店舗が付いてこないなどです。つまり革新的な製品、サービスを成功させるためには、バリューチェーン、サプライチェーンの見直しが重要です。川上から川下まで幅広い視点で物事を見ながら、それぞれの価値に見合うかを考えることです。
バリューチェーン、価値・連鎖の見直しのポイントは、「何を、誰に売るために、どこと組んで、どのように売るか、そのためにどうするか」、そのすべてを見直し、サプライチェーンを再構築していきます。

キーワード②「キュレーション~質の良い情報の収集と自分なりの情報の編集~」

デジタル時代を迎えた昨今SNSはじめとして様々な情報が溢れています。情報が溢れていますが、不要な、不正確な情報も多く、まずは質の良い情報(トレンド等)を収集することが大切です。そして自分の会社に合った情報を、自分なりに活用できるように編集し、自社・商品の魅力を「進化」させ、新しい需要を生み出すことが重要となります。

キーワード③「ものづくりにおける機能的価値と付加的価値」

ものづくりを行っているメーカーは、機能的な価値を重視してしまいます。ところがバイヤーや消費者には、それだけでは理解されないようになっています。消費者は、機能面だけではなく、デザインなど自分の感性で自分に合っているかを瞬時に判断したりします。例えば食品でいうと、おいしさや健康的な機能などだけでなく、パッケージやシールなどでも自分に合うかを判断したりします。このデザイン性などを付加的価値と名付けました。
ものづくりにおいては、機能的価値と付加的価値の両方の価値を大切にし、ターゲットを明確にするとともに、そのターゲットの感性に響くような表現(売り方)をすることが重要です。これらをバリューアウトと呼びます。そしてバリューイン、消費者の価値として、実用的価値に感情的価値を加え、つまりどのような価値観で商品を買いに来るかを考え、それに見合った情報を提供することが重要となります。

株式会社TCカンパニー 代表取締役 十三 千鶴 先生より
展示交流会を見ての参加メーカーへのアドバイス

凄い技術・素晴らしい商品をお持ちの皆さまが、それをどのように市場に出すか、この部分をネックと感じられているのではないでしょうか。石本先生のアドバイスにもあったように、誰と組んで、どのようにアピールするか、その組織づくりも大切かと思います。そして自社の強みと弱みを分析することも大切です。強みを活かすために、誰に向けて発信し、デザインしていくのか、誰と組むのか、そして弱みを強みに変える、払拭するためのデザインなど、ファッションとは感性ビジネスですので、その辺りを大切にしていただきたいと思います。

株式会社能作 代表取締役社長 能作 克治 社長より
展示交流会を見てのご感想アドバイス

やはり売り方が重要です。特に知ってもらうための方法「いかに伝えるか」が重要となります。商品の歴史や素材を知っている社員が売れば売れます。ですが、知らないと売れない。つまりは売ってくれる人、バイヤーにどのようにレクチャーするかが重要となります。私は、商品の特徴を分かりやすくカードにして渡したりしています。参考にしていただき「伝える」ことを意識してみてください。

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