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Rin crossing Eye Rin crossingに期待を寄せる方々に、専門家の立場からいま求められる市場ニーズやものづくりへのヒントをお聞きします。

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レポート<地域にFOCUS in 富山>2014/02/05

Rincrossing Eyeの新しいレポート「地域にFOCUS」第2弾をお届けします。
このレポートは、モノづくり地域の若手やグループ等に焦点を当てて、各地で起きている様々な動きをご紹介していこうという企画です。
今回は、富山県高岡市からのレポートです。

新しい試みにチャレンジする高岡の若者たち

伝統産業を受け継ぐ若い方は日本中にたくさんいらっしゃると思います。
富山県高岡市には、江戸時代の加賀藩から続く高岡銅器や高岡漆器等のものづくりを担う高岡伝統産業青年会という若手の会が、元気に活動をしています。
2013年、彼らはユニークな試みに挑戦しました。
それは、ショートムービーの製作・上映です。
ちょうど昨年12月に最終回を迎えたNHK大河ドラマ「八重の桜」のオープニングタイトルで、たくさんのピンク色の和傘が、花が咲くように開いていく映像を、皆さん多分ご記憶かと思います。あの映像を監督した菱川勢一さんに映像制作を依頼し、高岡の中心的な伝統産業である鋳物産業の現状と未来に向けて、悩み、挑戦する若者たちの姿を描いたショートムービーを製作したのです。

でも、なぜ、伝統産業青年会が、映像を作るという畑違いのことに取り組んだのか?
それは、高岡の抱える課題を地元だけでなく色んな人に幅広く知ってもらうこと、そして、高岡ってこんな町なんだ、と興味をもってもらうには、自分たちで映像を作り、それをYou tubeにアップして、世界中で見てもらえるようにすることで、新しい広がりが生まれるのでは?と考えたのです。

まずは、この映画を作った高岡伝統産業青年会・折橋祐紀会長に、この映画に込めた思いを語っていただきました。

「この映画は高岡の街を、高岡の伝統産業を一人でも多くの人に知ってもらい、一緒になって盛り上げていきたいという情熱から誕生しました。映画製作が進行するにつれ、映像製作関係者、学生、行政の人などその熱い想いに心打たれた『すず』サポーターがどんどん増え、いろいろな協力や支援を受けながら皆で一丸となってつくり上げた映画です。ぜひ、日本中の、いや世界中の皆様に見ていただきたいと思います」

「すず」の映像を見ると、折橋会長のメッセージが納得できる熱き想いを感じます。

続いて、プロデューサーのひとりで、菱川監督による映画制作のきっかけを作った林口砂里さんに、制作に至った経緯などをお聞きしました。

「昨年6月に丸の内のハーマンミラーストアで、高岡の伝統産業を紹介する期間限定の「高岡クラフトショップ」と高岡の職人たちのトークをプロデュースしました。その対談のお相手として菱川さんをお招きしたのです。『高岡のことは知らなかった。若い人たちがこんなにがんばって伝統産業に取り組んでいるのに、それがあまり発信されていないのはもったいない』という菱川さんの言葉に心を動かされた伝統産業青年会メンバーたちが、「高岡伝統産業青年会40周年記念講演」の講師を菱川さんに依頼。その際に、2~3分くらいの高岡の伝統産業のプロモーションビデオのようなものも併せて製作するということでお願いをしたのですが、『それではあまり見てもらえずに埋もれてしまうかもしれない。「映画」という形にすることで、より多くの人に見てもらえるようにしよう』、と菱川監督がおっしゃって下さり、短編映画を製作することになったのです。
8月下旬から、監督自ら脚本執筆に取りかかり、主演俳優二人をキャスティング。実は菱川さんのFBで公募し、ノーギャラという条件にも関わらず、700名ほどの応募の中から選ばれたプロの俳優さんたちです。

主演の村上真希さんと成元一真さん

高岡での撮影は10月19日~20日に行われました。菱川さんが教える武蔵野美術大学の学生や富山大学芸術文化学部の学生たちも撮影や録音助手、メイキング制作に携わってくれました。

また、脇役としてポスターに名前が入っている 青井一暁、折橋祐紀、國本耕太郎 の各氏は、いずれも伝統産業青年会のメンバーですが、本職の俳優顔負けの名演技を見せてくれています。

映画のために作られた主題歌「キューポラの見える街で」は、高岡での撮影に来高した作曲家・清川進也氏が、撮影二日目に突如完成させ、急きょ出演者・関係者が歌を覚えてラストシーンの主題歌リレーを撮影しました。その後、東京での撮影・編集を行い、11月9日の40周年記念事業としてお披露目になったのです。」

主演の村上真希さんを高岡駅で出迎える高岡伝統産業青年会のメンバーや学生さん、スタッフの皆さん。(右前でおどけているのは、昨年度の伝統産業青年会会長の嶋さんです。)

今回、菱川さんにお願いするというアイデアはどのように生まれたのか、林口さんにお聞きしました。
「これまで高岡伝統産業青年会の方達は、プロダクトデザイナーやデザイン・プロデューサーの方たちとはよく対談されたり仕事もされていて、「デザインの優れた商品」を作ることは当たり前になっていますから、こうした方々と対談してもあまり目新しい話は聞けないだろうと思いました。作ったものをどう売っていくか、どう拡めていくか、あるいはそもそもこれからの時代どんなものを作るべきか、という話題にしたいと思い、クリエイティブ・ディレクターであり、「映像」というメディアを使われていること、そしてもう一つは最近金沢や徳島にサテライトオフィスを構え、地方の文化にも興味を持っていらっしゃる、という点で菱川さんにお声掛けしました。もちろん、以前から私も菱川さんを存じ上げていたということもありましたし。」

撮影中の菱川監督(真ん中)

菱川監督は、短い制作期間の中で、高岡の若者たちと飲んで語り合い、高岡の持つ魅力を、「旅の人」(富山では市外の人のことをこう呼びます)の目線でとらえ、切り取りました。
地元の人が見ると、高岡らしいところがあんまり出ていないのでは、と感じた人もいたそうです。
でも、菱川監督は熱く語っています。これは観光映画ではない、高岡という町と人の魅力とを感じてもらうには、観光スポットの映像を紹介することで表現されるのではない。庄川の土手を若者たちが歩いている、そこにこそ自然な高岡の姿がある。自分はそう感じる、と。

11月9日の40周年記念事業として映像のお披露目と講演会が行われ、10日からYouTubeで公開がはじまったショートムービー「すず」。現在は、富山だけでなく全国のCATVでも放送が拡大しています。2014年2月には視聴数全国No.1のJ:COMでの放送も決定しました!
また、その後モノクロ映像に英語のテロップを入れた海外版も追加制作されました。

菱川監督お気に入りは、実はモノクロ映像のほうだそうで、本当はそっちを本編として最初に公開したかったくらいだとのこと。監督いわく、「溶けた錫など鋳物作業の美しさは、むしろモノクロ映像でこそものすごく感じた」そうです。このモノクロ版は、海外に向けた発信をねらって作られたもので、今年の5月にイタリアの「フィレンツェ日本映画祭」での公開が決定しているそうです。
カラーのオリジナル版ももちろんお勧めですが、モノクロ版の映像は、確かにものづくりの持つ質感のようなものを感じさせる仕上がりになっています。こちらも必見です。
http://suzu-takaoka.com/en/

菱川監督の製作チームは、「菱川組」と称するそうですが、高岡のみなさんは、「高岡菱川組」として監督とのきずなを深め、見事なチームワークが素晴らしい映像を生み出したといえます。劇中で挿入されている「高岡でベロンベロン」と歌われる歌の通り、飲んで熱く語り合った成果?として生まれたショートムービー、それが「すず」です。
監督を囲んだこの写真の笑顔に、そのきずなの強さがあらわれています。

皆様もぜひ一度映画をご覧になって、高岡の伝統産業の若者たちの熱意を感じてください。
また、主題歌「キューポラの見える街で」は、iTunesで絶賛発売中だそうです。

◎iTunes ストア
https://itunes.apple.com/jp/album/kyuporano-jianeru-jiede-single/id745226006

また、2月10日発売の月刊文芸春秋に「すず」の取材記事が掲載されるそうです。
こちらもぜひご覧ください。

映画のテーマにもある通り、他の産地同様に高岡銅器も後継者問題などを抱えています。こうした課題と向き合いながら今回の映像は生まれたといえます。この映像を通してそのことについてあらためて考える、あるいはこの映像を見て、高岡でものづくりに挑戦したい、と思う若者が一人でも生まれるかもしれません。取材を通じて、映像を作るという試みが、伝統産業に新しい風を起こすきっかけになればと感じました。

Rin crossing でも、様々な形で、地域の企業活動を支援する動きを展開しています。
例えば、今年度は、芝浦工業大学とコラボレーションして、2社の会員企業を対象に商品開発提案プログラムを展開しています。年度末までに学生の皆さんからのフレッシュなアイデアが提案される予定です。こうした試みを通して、地方企業の持つ魅力に触れた学生さんたちから、将来、地方の産業活性化に協力するデザイナーが生まれてくるかもしれません。楽しみですね。その他、海外の展示会への出展も支援し、今年度は台湾やロンドンでの展示会を実施しております。Rin crossing の活動にもぜひご注目を。

★最後に、このショートムービー「すず」は、イベントなどで上映して頂くことが可能とのことで、ご希望の皆様には、上映用素材などをお貸しするそうです。もしご要望がありましたら、Rin crossing 事務局までお問い合わせください。連絡先などご紹介します。

◎ニッポン・ローカルショートムービー「すず」
公式サイト http://suzu-takaoka.com
公式Facebookページ https://www.facebook.com/short.story.suzu

◎高岡伝統産業青年会
http://www.takaoka-densan.com
二代目加賀藩主、前田利長が鋳物師や漆工を高岡に呼び寄せたことから始まった「高岡銅器」や「高岡漆器」の歴史は、400年を超える歳月を数えます。その工芸都市「高岡」で、銅器・漆器などの伝統工芸に従事する40歳までの青年団体です。伝統技術の向上、継承に努め、伝統産業の振興を図るとともに地域社会の発展に寄与することを目的としています。もの・人・技・歴史・そして情熱を市内外に発信しています。

◎高岡伝統産業青年会加盟のRin crossing 会員企業は以下の通りです。
天野漆器株式会社
株式会社小泉製作所
有限会社シマタニ昇龍工房
株式会社高田製作所
株式会社能作
有限会社モメンタムファクトリー・Orii

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