The Place of Discovery Rin Crossing

menu

menu

登録メーカー
261社
登録バイヤー
国内:803名/海外:517名

詳細へ

創り手たちのStory

Home > 創り手たちのStory #013 (TAKE Create Hagi株式会社)

#013 TAKE Create Hagi株式会社2013/06/25

地域資源の新たな可能性に挑戦!北欧デザインを取り入れた曲線が美しい〈竹の家具〉

前列左がジェネラルマネージャーの伊藤 衛さん

「萩」の未来のために、新しい産業の創出を

優美な曲線を描く、モダンでデザイン性の高い椅子やテーブル。その洗練された佇まいに引き寄せられた人たちは、清々しい天面や座面に触れて驚きます。「この素材はなに? えっ、竹……!?」。竹で、こんなに頑丈な家具がつくれるなんて!

山口県萩市で採取される良質な竹を素材に、インテリア家具の製造販売を行うTAKE Create Hagi株式会社。その名のとおり、美しい曲線を描く「曲げ加工法」の独自技術とアイデアで竹をクリエイトし、世界的に注目を集めている企業です。

原料の竹は、すべて地元産の孟宗竹を森林組合から仕入れています。5〜6年経過し、直径10センチ以上、厚みが1センチ程度に成熟した竹を何日も天日干ししてよく乾燥させ、厚さ2ミリ程度のシート状にして何層にも張り合わせ、独自の「曲げ加工法」で加工を施していきます

代表取締役社長の刀 勇さんは、一代で地元にケーブルテレビ会社やガス会社を築き上げた実業家。2001年、萩商工会議所の会頭に就任したのをきっかけに、「萩発の世界ブランドを育てよう」と新たな地場産業の育成を力強く推進してきました。

「市町村の広域合併が進み、生き残りをかけた地域間の競争はますます厳しくなる。頼みの綱だった観光産業も縮小傾向だ。萩の未来のために、世界に通用する萩にしかない新しい産業を創出せねばいかん」

豪放磊落な語り口と世界を見据えた鋭い視点は、吉田松陰をはじめとする明治維新の立役者を生み出した風土ならではの気概に溢れています。

開発当初から「世界」がターゲット

「地域に役立つと思ったらなんでもやってみる」と語る刀(とね)勇代表取締役社長。地元産の魚「金太郎(ヒメジ)」を有名シェフに託してスイス・ダボス会議で紹介するなど、萩を世界にアピールするアイデアを精力的に実現し続けています

山口県は、全国でも3番目の規模を誇る竹林面積を有しています。なかでも冬は雪が積もる萩で育った竹は硬く粘りがあり、肉厚で繊維の密度が高いという美点があります。

「昔から、高級な和すだれや、札幌・函館のササラ電車(除雪車)のブラシの材料といえば萩の竹。しかし、他にはあまり利用価値がなくてね。木に比べて繁殖力が高いから、山を荒らして『山のギャング』とも言われていた。そこで、この良質な竹をもっと活用する事業を起こせないかと考えたんだよ」

さっそく、萩商工会議所の会員から公募した15の事業者を中心に、有限責任中間法人「萩の竹ブランド化推進協議会」を設立。萩市、山口県立大学、山口産業技術センターとも連携して研究開発をスタートしました。

同時に刀社長は、つてを辿ってデザイン先進国である北欧フィンランドの若手クリエーターに竹素材を送りました。「最初から世界に売ることしか考えていなかった」という社長らしい大胆な判断です。

寒い北欧には、孟宗竹のような太い竹はありません。初めて見る素材にクリエーターたちはおおいに触発され、さまざまなサンプルやデザイン画を送ってきました。そして2004年に経済産業省の「JAPANブランド育成事業」の第一号に採択されたことをきっかけに事業化への動きが進み、翌年にはJETROの「JAPANブランド海外販路開拓支援事業」を活用してフィンランドの首都・ヘルシンキで初の展示会を開催。そこで北欧家具の名門であるアルテック社の目に止まり、OEM契約を結ぶことになったのです。

難題を乗り越えることで、独自技術を開発

自社製の木枠を用いて圧力をかけることで平らな板に自在に曲線をつける世界でただ一台という巨大なプレス機や、コンピュータ制御により1000分の1単位でパーツを正確にカットする機械が並ぶ工場内。「パーツがピタッと合うように最後は人の手で組み立て、丁寧にサンディング(磨き加工)を行い、竹の目が見える透明のウレタンで塗装を施します」と工場長の木村隆則さん。工場で働くスタッフは現在13名です

 

曲げ加工のための木枠は、デザイン図面に沿ってすべて工場で設計・製造。現在100種類以上あり、その一部は「リバースプロジェクト」の製品にも使われています

 

中田英寿さんが起ち上げた「REVALUE NIPPON PROJECT」の企画で制作したパーテーション。波打つような曲線の美しさが驚きと共に高い評価を得て、オークションでは高額にて落札されました

スムーズに進んだかに思えた世界進出。しかし、ここで難題が発生しました。柔軟性の高い「竹」という新素材に魅力を感じたアルテック社が求めたのは、曲線を活かした難易度の高いデザイン。それがどうしても精密に加工できなかったのです。

「曲げ加工を施した後、竹素材ならではの跳ね返り作用が働いて、サイズが微妙にずれてしまう。これにはまいって事業化は無理かと悩んだが、結果的にこれが良かった。開発に一年半かかったものの、世界でここでしかできない『正確な曲げ技術』や『立体的な加工技術』が確立できたのだから」

こうして木の積層材では表現できない、薄くてしなやかな曲面デザインを実現。竹は高級木材であるヒノキと比べても1.5〜2倍の強度があり、軽量でも充分な強度のある製品をつくることが可能になりました。

2006年にはTAKE Create Hagi株式会社を設立し、米国の有名家具メーカーとも契約。同社と共同製作した椅子がアカデミー賞などのイベントで使用されるなど、その品質の高さが広く知られるようになります。

 

現在、フィンランド在住の家具デザイナー、ナオト・ニイドメ、ミッコ・パーカネンらによる〈magaru〉ブランドでは〈ORIGAMI〉〈OBI〉など日本の美を伝えるシリーズを展開(写真左)。プロダクトデザイナー、喜多俊之による〈Hagi Bamboo〉シリーズ(写真右)など日本人デザイナーも活躍しています。為替の関係で一時期に比べ海外との取引は減っていますが、そのぶん国内での広報活動に力を入れ、着実に販路を広げています

「エコ」は企業の社会的責任

地域産業活性化と雇用創出のため、地元の山で育った材料で製品をつくる一貫生産にこだわっている同社が、もうひとつ大切にしているのが「エコ」の視点です。

「竹は生育のスピードが早く、地球温暖化の原因である二酸化炭素を吸収する役割を木よりも効率的に行ってくれます。3~5年で伐採可能であることも効率的でエコな素材といえます」と、同社ジェネラルマネージャーの伊藤 衛さん。

こうした企業姿勢に賛同した、俳優・伊勢谷友介氏が代表を務める"人類が地球に生き残るためのプロジェクト"「リバースプロジェクト」との共同商品開発も話題です。

 

広報活動に力を入れている同社。「竹細工など小物への加工のイメージが強かった竹素材の新たな可能性を感じてもらいたい」(伊藤ジェネラルマネージャー)と、ほぼ毎月、都心の百貨店や大型商業施設にイベント出店を行い、たくさんの方々に実際に製品を見てもらえる場を設けています。今年の6月に渋谷ヒカリエ ShinQs lifestyle クラフトビューローに初出店したときの様子(写真左)。「リバースプロジェクト」との共同開発による花器(写真右)

最後に刀社長は、地元・毛利元就の逸話になぞらえて安倍首相が掲げた「三本の矢政策」の三本目の矢(成長戦略)について触れました。

「三本目の矢は、民間の頑張りにかかっている。今後おそらく金利が上がり、中小企業の資金繰りが厳しさを増すと予測されるなか、Rin crossingのような公的な支援事業が担う役割は大きい。地域、ひいては国全体の活性化のためにも、世界に通用するJAPANブランド育成の後押しをしてほしいと期待しています」

TAKE Create Hagi株式会社
(タケクリエイトハギカブシキガイシャ)

ページトップへ