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創り手たちのStory

Home > 創り手たちのStory #015 (株式会社セラミック・ジャパン)

#015 株式会社セラミック・ジャパン2013/08/23

実用性と芸術性の融合せとものの街から生まれるデザイン陶磁器

才能あるデザイナーと伝統技術のコラボレーション

良質な陶土に恵まれ、1300年といわれる歴史と伝統を持つ「せともの」の街・愛知県瀬戸市。日本六古窯のうち唯一、鎌倉時代からうわぐすり(釉薬)を用いており、つねに進取の気性で陶磁器産業を発展させてきた地域でもあります。

その地から、一貫したデザインポリシーのもと、才能あるデザイナーと伝統技術のコラボレーションで斬新な陶磁器を生み出し続けている企業があります。その製品がさまざまなデザイン賞を受賞し、MoMA(ニューヨーク近代美術館)の永久収蔵品に選定されるなど、国内外で高い評価を得ている株式会社セラミック・ジャパンです。

設立は1973年。大橋正之代表取締役の兄・杉浦豊和氏が30歳のときに、北欧のデザイン思想に強い影響を受けたプロダクトデザイナー・栄木正敏氏と出会ったことがきっかけでした。

市場に新たな価値を提案するプロデューサー的な立場の大橋正之代表取締役社長。デザインと技術のはざまで苦心の連続ですが、「よしこれでいける! という形になったときは、毎回ほんとうにワクワクしますね」と笑顔です

「もともと家業が和食器の産地問屋で、兄は東京の問屋で10年間修業をして跡を継ぎましたが、従来の和食器だけを取り扱っていていいのかという思いがありました。素朴でありながらデザイン性の高い北欧の食器に新鮮さを感じた兄は、ここ瀬戸からも自分たちの手で新たなクラフトを生み出そうとスタートしたのです」

4年後、大橋代表も勤めていた建設設備会社を辞して入社。当初は窯元の一角を間借りし、アルバイトをしながら自分たちがつくりたい製品をつくるという状況でしたが、すこしずつ百貨店バイヤーなどの目に止まるようになり、ブランドを確立していきました。

ニーズを汲むのではなく、新しさを提案する

「デザインコンセプトに求めるのは、『これまでにない』ということです。プロダクトですから売れなければ良いデザインとは言えないと思いますが、売るために消費者のニーズを汲むというより、私たちからどのような新しい提案ができるかを考えています」

 

1975年発売の〈CRINKLE〉シリーズ・SUPER BAG。紙やビニール袋の自然なシワを繊細にかたどった小松誠さんの代表作。MoMAの永久収蔵品に選定されています

 

徳田子さんデザインの〈STILL GREEN〉シリーズ・一輪挿し。内部が中空のこの美しいデザインを実現するために、高度な技術をもつ職人が何度も失敗や調整を繰り返して製品化に成功しました

紙のようなくしゃっとした皺模様の〈CRINKLE〉や、パイプ構造の輪郭だけの一輪挿し〈STILL GREEN〉など、同社が発表する製品はつねに驚きに満ちています。こうした姿勢に共感するデザイナーの輪が広がる一方で、苦心してきたのは「製造」です。

瀬戸の陶磁器は分業が確立しており、同社ではデザイン決定と原型製作まで自社で行い、型屋や素地屋、窯元など複数の協力先に製造を依頼しています。そこで従来の和食器にはないデザインがネックになりました。手間がかかるうえに、ごまかしがきかない……「こんなものはつくれない」「見合わない」といった反発がありました。

デザイン画を元に社内で原型を製作。陶芸を専門に学んだ職人がひとつひとつ手づくりしています。スタッフは9名。うちデザイナーは2名で、オリジナル製品のほかOEMのデザイン提案などにあたっています

「焼き物の専門家からすれば無理難題ですが、焼き物を知らないからこそ出てくる斬新なアイデアがある。それを実現していくのが面白いし、産地の活性化にもつながります。私たちの考えを理解していただこうと、週イチでスタッフみんなでお昼にカレーをつくって窯元さんたちを招き、親睦を深めていた頃もありました(笑)」

そして40年、瀬戸の方々と一緒に価値あるクラフトをつくりたいという思いが浸透し、意欲的で技術力の高い協力先との強い信頼関係を築いています。

価値を保ち、モノの力で売る販売戦略

フィンランドのアラビア製陶所でデザインを手がけた加藤達美氏をはじめ、最近ではnendoの佐藤オオキ氏など数々の実力のあるデザイナーと組んできた同社。しかし、販売実績や名前にはとらわれず、「類似のない形」や「生活が楽しくなる」といった点を重視してデザイン選定を行うといいます。

「感覚の問題なので説明しにくいのですが、なぜうちがつくるのかということを考えます。年間3シリーズの新規投入が目標ですが、試行錯誤の連続で企画から製品化までたいてい1年半はかかりますし、市場にないものですから芽が出るまでにも時間がかかる。だいたい発売3年目くらいから売れ始める傾向があるんですよ。効率的ではありませんが、飽きのこない良質な製品をつくりたいと思います」

「セラミック・ジャパンさんの製品は微妙なカーブなどがあり、細かな手間や技術が求められます。だからこそやりがいがありますし、海外ではなく国内でしかつくれない。数よりクオリティを目指して頑張っています」と、窯元である川昌製陶の川本康司社長。

 

原型を元に製作した石膏の型に陶土を流し込んで器の形をつくります。デザインにより「あけ鋳込み成形」「圧力鋳込み成形」「ろくろ成形」などの技法を使い分けます

 

乾燥させた製品に釉薬をかけ、1300℃のシャトル窯で焼成します

こうしてつくられた製品は、売り方も従来の和食器とは大きく異なっています。セラミック・ジャパンの製品は、銀座松屋、青山スパイラルマーケット、バルスといった感度の高いセレクトショップを中心に、基本的に「一都市一店舗」のみで展開。マスマーケットを意識せず、ディスカウントも行いません。

「価格勝負ではなく、モノの持つ力を大切にしたい。雑誌掲載などもコンセプトに合わせて検討しています」

Rin crossingを活かし、新たな販路に挑戦

Gマーク取得やデザイン展への出品も積極的に行ってきました。売上げの4割を占めるOEMでも確かな技術と卓越したセンスを活かし、「虎屋の豆皿」や「柳宗理の白・黒食器や和食器シリーズ」などを手がけて話題となっています。

大橋代表が事業を引き継いでからは海外展開も視野に入れ、2010年からは愛知県の助成を受け、ドイツで開催される国際見本市・アンビエンテに出展しています。

「私たちのような規模の企業が世界市場に挑戦するには、それなりの評価を得て公的な支援をいただかないとむずかしいですね。Rin crossingに選定されたことも、企業姿勢や商品価値が認められたということでうれしいこと。中小機構さんのブランド力を活かして、海外を含め新たな販路を開拓したいですね。また、焼き物と他の素材とのコラボなどを通じて、新素材や新技法の開発にもつなげていきたいと思います」

焼き上がった製品は、釉薬のかかっていない部分をなめらかな手触りにするために、ひとつひとつ手作業で研磨しています

株式会社セラミック・ジャパン
(カブシキガイシャセラミックジャパン)

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