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創り手たちのStory

Home > 創り手たちのStory #019 (上越クリスタル硝子株式会)

#019 上越クリスタル硝子株式会社2013/12/25

新たな可能性に挑戦し続ける色彩豊かな<ガラス製品>

創業100年を超えるガラスの老舗メーカー

創業は、明治38(1905)年。日本で初めて体温計をつくった上越クリスタル硝子株式会社は、皇居新宮殿や帝国ホテル等のガラス壁面の製作、中尊寺の瑠璃色ガラスビーズや正倉院ガラス、赤坂迎賓館のシャンデリアガラス等の復元、大相撲優勝杯の提供など、ガラス業界の老舗メーカーとしてさまざまな実績を誇ります。

その本社と工場「月夜野工房」があるのは、谷川連峰を望む美しい自然に囲まれた群馬県利根郡みなかみ町月夜野地区。創業時は東京に工場を構えていましたが、戦後、燃料の石炭が不足したことから、亜炭が入手しやすかった現在の地へと移りました。

現在、売上げの比率はOEM6割、直販4割。「OEMでは日本赤十字社の記念品をはじめ、ブライダルギフト等、幅広く手がけています。今後は小売店との直接取引も増やしていきたい」と、代表取締役社長の倉田善弘さん

その後、温度計などの理化学ガラスの製造から、電気照明の傘や花瓶、食器など日常生活で利用されるガラス製品にシフト。三代目である代表取締役社長の倉田善弘さんは、著名な芸術家やデザイナーたちと組んで新たなガラスの可能性に挑戦し続けてきました。

ガラスの可能性にチャレンジする気質

帝国ホテル1階ロビーのガラス壁面は、彫刻家の多田美波さんとの仕事です。高さ8m、横幅25mという巨大な壁面に使用したガラスブロックは8000枚以上! 芸術家が求める微妙な色彩や精度を実現した技術力は同社ならではです。

 

1990年には、見学できるガラス工場や吹きガラス体験施設、世界各国のガラス製品を展示したグラスアート美術館を備えたガラスのテーマパーク〈月夜野びーどろパーク〉を開業。年間40万人もの観光客が訪れています

「我々の自慢は、優秀な職人さんを数多く生み出したことです。冗談でよく言うのですが、うちの職人さんたちは『こういうのできないよね』と言うと、『そんなことありませんよ、できますよ!』と答える(笑)。なんとかして要望に答えようという気質が新技術の開発につながり、職人さんの叙勲や表彰にもつながりました」

勲六等瑞宝章1名、黄綬褒章3名をはじめ、数多くの表彰を受けています。職人が勲章を叙せられる工場というのは全国でも稀で、皇太子時代の今上天皇と美智子さまや皇太子殿下がご視察にいらしたほど。同社の卓越した技術力がうかがえます。

1500度の溶解炉の周囲で職人たちが一つひとつ手づくりで製品を製造。吹き竿にガラスを巻き取り、息を吹き込みながら成型する宙吹技法のほか、溶けたガラスを型に吹き込む型吹技法、柔らかなガラスを重力で伸ばしながら成型する伸展技法などさまざまな技法を駆使しながら複数の製品が同時平行でつくられていきます

同社の製品は一つひとつ手づくり。工場に入ると、ガラスを溶かす1500℃のルツボ式の溶解炉があり、職人がそこから水飴のようにとろりと溶けた灼熱のガラスを取り出しては、真剣な面持ちで成形していました。

「大型の製品は5~6人の職人さんがチームになり、熱く溶けたガラスの温度が下がらない内にすばやく成形したり、絶妙のタイミングでガラスを接いだりします。それが可能な一人ひとりの技術とチームワークが当社の強みです」

ガラスを編み込んだようなレースグラスの技法やドレープ状にガラスを形成する特許技法など、複雑で独特な技法を有するのも特徴。一般にガラスの産地では分業となる磨きなどの工程も社内ですべて行っています。

試行錯誤で編み出した美しいカラーガラス

色彩の豊かさも同社製品の魅力です。たとえば、〈誕生石グラス〉は1月から12月までの誕生石をイメージした12色展開。これほどの多色展開や宝石を思わせる微妙な発色は、他社には真似のできないことです。

色つきガラスは、透明なガラスに銅やコバルトなどの金属を混ぜて、化学反応で発色させます。複数の色ガラスを同時に使うと膨張係数の関係で割れやすく、また濁りやすい、気泡が出やすいという問題もあるため、発色をよくしながら泡切れをよくするといった技術が求められます。コストも手間ひまもかかるため、他のガラス工場では色数を数色程度に絞り込む傾向があります。

 

自由な発想での商品づくりが持ち味。15年前、同社が地ビールレストランをオープンする際、専用のビアグラスとして開発した〈夕焼けのやま〉グラス。ビールを注ぐとグラスの中に夕焼け空が広がるという発想がうけ、父の日ギフトの定番となりました

 

曲線が美しい〈誕生石グラス〉。50色近くの色ガラスから、それぞれの誕生石にあった色を選んでいます

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「ところが、うちは逆にさまざまなご要望にお応えしているうちに色数が増え、気がついたら濃淡含めて60種類以上もありました(笑)。正倉院宝物のガラス器を復元する取り組みから生まれた『正倉院セピア』など、試行錯誤の末に編み出したカラーが多いですね」

管理部次長であり四代目の倉田弘樹さんは、「ガラスのよろず相談所でありたい」と、オリジナル製作を積極的に受け入れる姿勢を示します。

「〈月夜野アーチスト倶楽部〉は、これからの月夜野工房を担う若手の挑戦の場。広い意味でのマーケットのテストケースとしても機能しています。ここで発表した作品から商品化、定番化したものもあります」と、四代目の倉田弘樹さん

「ここ数年、華道や茶道といった分野の方がご自分のお道具をつくったり、空間設計や演出、食器やインテリアなど、これまでお付き合いのなかった分野のアーティストやクリエイターから『表現のための素材』としてガラスが注目されています。弊社は、もともと新しい挑戦が好き。私たちの対応力や技術力、生産力、実績をひとつの商品と捉え、『こんなことができたらいいのに』を実現する提案で、新しいものづくりができたらいいなと思っています」

「職人の作家活動」で新技法を開発

同社は、「職人の作家活動」を業務内で推進しています。色ガラス、型吹き、レースといった技法を受け継ぐ若手職人たち5人による〈月夜野アーチスト倶楽部〉は今年、それぞれの名前で作品製作をし、ハウスウエアショップ〈Madu(マディ)〉で巡回展を行いました。

今年3〜8月にかけて全国9店舗の〈Madu〉で開催された「若手職人 巡回展」の様子。これまでの月夜野工房とはちがった味わいの、若手職人らしい感性の作品が並びました
写真提供:Madu

「職人さんがいまの技法をさらに追求し、新しい技法にチャレンジすることで、未来につながるものが生まれることを期待しています。理化学ガラスの工場として創業して以来、時代の変化に合わせて、じつにさまざまなガラスをつくってきました。それを可能にしたのは、その時代ごとの職人さんたちです。先人のつくり手の技術を受け継ぎ、これからのつくり手に絶やすことなく伝えるためにも職人さんの育成に力を注いでいきます」と弘樹さん。

倉田社長には、「色ガラスを重ねて美しいグラデーションを見せるなど、当社にしかない技法でもうひとつ上のものをつくりたい」という思いがあります。

「いま取り組んでいるのは、ガラスの技術がわかる方なら『えっ、どうやってつくったの!?』と驚くような新製品。Rin crossingには、国内だけではなく海外への販路開拓支援を期待しています」(倉田社長)

「公的支援には単年度や1回で終わってしまうようなものもあり、歯がゆさを感じることがあります。そんななか、中小機構が『Rin』というブランドのもと実施している販路開拓支援事業は、長期間続いていて頼もしいです。Rin crossingはこれからも、じっくりと我々の販路開拓をサポートするプロジェクトであってほしいと思います。今後は、異業種とのコラボレーションも積極的に取り組みたいですね」(弘樹さん)

上越クリスタル硝子株式会社
(ジョウエツクリスタルガラスカブシキガイシャ)

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