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創り手たちのStory

Home > 創り手たちのStory #020 (マルナオ株式会社 )

#020 マルナオ株式会社2014/01/24

愛着を抱かせる道具の美しさと迫力<br />高級木材で機能美を極めたスタイリッシュな「箸」

寺社彫刻師の魂を受け継ぐ木工企業

古くから金物の町として知られる新潟県三条市。市の中心を流れる五十嵐川が毎年のように氾濫したことから、農民の暮らしを救うために江戸から釘鍛冶職人を招き、和釘の製造を奨励したことがはじまりと言われています。

マルナオ株式会社は、この地で日本人にとって身近な道具である“箸”を極めて、世界から注目を集めています。黒檀や紫檀などの高級木材を削り出した極上の逸品を求め、国内はもとよりクリスチャン・ディオールなどの世界の一流ブランドからも注文が寄せられています。

2006年、三代目代表取締役に就任した福田隆宏さん。従来の利器工匠具に加え、「箸」をはじめとする新事業で業績を伸ばしています

「刀の鞘など、刃物のまわりは木製。金物のまわりでは木工も栄えたのです。弊社の創業は1939年。初代の祖父・直悦は、三条市で寺社を装飾する彫刻を生業としていました。その後、木工機械を導入し、建築に使う墨坪車(すみつぼぐるま)の製造に着手します。伝統的な彫刻技で装飾が施された墨坪車は、大工の魂ともいえる道具でした」と三代目の福田隆宏代表取締役社長。

単なる実用を超えて、見る者、使う者に強い愛着を抱かせる道具の美しさと迫力。現在の社名であり、商標でもある「マルナオ」は、初代直悦の名とこの墨坪車の丸い形から名づけられています。

何百年も生き続けた木の個性を生かす

その後、同社は確かな木工技術で大工用凧糸巻や千枚通し、カルコなどの利器工匠具の製造を行ってきました。

「初代も二代目も職人的な気質で、家業に誇りを持っていました。今でも覚えているのは、小学校6年の時、夜、二人に突然工場に呼ばれて、真剣な顔で『お前は跡を継ぐのか』と訊かれたこと。面食らいましたが、『はい』と答えました。工場で遊びながら育って、木の香りや肌触りが好きでしたから」

墨坪車

しかし、年々住宅着工数も大工の数も減り、先行き明るいとは言えない状況。東京の大学へ進学した福田社長は、他のことをしてみたい気持ちもあり、就職活動を行います。ところが最終的に入社を決めたのは大手合板メーカーでした。

「やはり自分は木に惹かれるのか、と感じました。営業職でさまざまな素材や市場について学ぶことができたのは貴重な経験でした」

そして同社に戻り、「何百年も生きてきた木の個性を生かしたい」との思いから、2000年にワイン樽を再利用した雑貨シリーズを発表。さらに、「プロの大工道具に匹敵するような、誰もが使う暮らしの道具をつくりたい」と考え、辿り着いたのが“箸”だったのです。

「日本では現在、90%ものシェアを塗り箸が占めており、中身の木地は安価なもの。傷みが早く、毎年買い替えるような風習もあります。しかし、素材の良い箸を長く使いたい人もいるのではないか。私たちは小さく細いものを得意としており、黒檀、紫檀といった硬木を削る技術もある。その強みを生かして、世界一口あたりの良い箸をつくろうと思ったのです。角がシャキッとしてすべりにくい箸、大工道具のように持った感触のいい箸を目指しました」

黒檀や紫檀は硬いがゆえに細く削ることができ、水も吸いません。頑丈で長持ち。箸に合うからこそ、その素材を選んでいます。

卓越した技術を生かした機能美

こうして完成したのが、極上の八角箸。特筆すべきは、魚の骨の隙間の身まできれいに掴める細い先端まで、ピシッと八角形を保っている手仕事の精度です。また、より軽く感じるように後方がすこし細く、手の中で丸みを帯びるフォルムとなっています。

 

〈極上 十六角箸〉。指のあたる部分を十六角にも削り、至高の持ち味を実現。銘木ならではの木の表情を堪能していただくために木目の揃う面に銀を象嵌し、置いたときに最も美しく見える工夫を凝らしています

 

〈Sweet Morning〉。八角箸、スプーン、カトラリーレストの3点セット。さまざまな食文化が融合し多様化する食卓に、箸とスプーンという和と洋の組み合わせを提案。その斬新さと静謐な美は国境を越え、ジョエル・ロブションをはじめとする一流シェフやバイヤーたちの心をつかんでいます

「見た目だけではなく目的と機能をとことん考え抜き、何十回と削ってみて『ここだ』というところを見つけていきます」

真摯さと卓越した技術が生み出す機能美が、研ぎ澄まされたデザインとなって人の心をつかみます。2002年の東京インターナショナル・ギフト・ショーに初出展したのを皮切りに、国際見本市インテリアライフスタイルやドイツ・フランクフルトで開催されるアンビエンテなど、さまざまな展示会で「マルナオの箸」は知られていきました。

世界で初めてデュポン社の人工大理石を用いた携帯箸などバリエーションを増やしながら、新潟県内の企業と公益財団法人にいがた産業創造機構が恊働で進める国際プロジェクト〈百年物語〉にも参加。「デスクまわりを森にする」というテーマの木を用いた文具シリーズ〈Forest on the desk〉、お箸とスプーンがセットになったカトラリー〈Sweet Morning〉など、毎年存在感のある新製品を発表しています。

世界に日本の「粋」を伝えていく

今年の新製品は、入手困難な稀少木材スネークウッドと黒檀を用いた万年筆。金属製パーツとの組み合わせには非常に高い木材加工技術が必要で、精緻な木材加工を得意とするマルナオならではの製品です。それだけではなく男の憧れの道具であることを踏まえ、武士道をテーマに腰に下げた刀のようなシャープさを表現し、〈鬼丸〉〈黒刀〉と名付けるなど、美学と物語性のあるモノづくりが心躍る製品を生み出しています

削るとき、一番大切なのはリズム感。木材を削る感覚を指先が覚えていく。「削り残しがないか、角がきちんと出ているかどうか、作りこんでいくと目分量が一番正確です」と、7年目の職人さん

 

NCルーターマシンやレーザーマシンなどの最新技術と手技の融合で、プロダクトでありながら愛着を感じる風合いや個性を醸し出します

 

材料となる木材は中身の水分を抜き、何年もかけて乾燥し、その後も徹底した管理を行います

「ブランディングはもちろん考えていますが、それよりもつくっているそのままの意識を、そのまま見てほしい」と福田社長。

利器工匠のツールと新事業であるWOOD ZAKKAの2事業を柱としていますが、現在、売上げは3:7で新事業が牽引。その人気のほどがうかがえます。箸のイメージをスタイリッシュに転換し、使い心地がいいことから、和食人気とともに海外でも反応が良く、上海のインテリアライフスタイルショーやパリのメゾン・エ・オブジェなどの展示会、ニューヨークマンハッタンでのギャラリー展示など、すこしずつフィールドを広げています。

パリのメゾン・エ・オブジェでの展示風景。「商品をさりげなく手にとった紳士に声をかけたところ、なんと世界的な料理人、ジョエル・ロブション氏でした。弊社の商品を気に入っていただけて、感激しました」と福田社長

「とくに世界で一番、食にこだわるパリで売り込みたい。Rin crossingには大規模な展示会はもちろん、海外のギャラリーのようなスペース等で展示する際のノウハウやご支援をいただけると助かります。これからも製品のストーリーを大事にし、手技と最新技術を融合させて人生のパートナーとなる道具をつくり続けていきます」

新設した工場では、海外のショーに出展する新商品の製作が大詰めを迎えています

マルナオ株式会社
(マルナオカブシキガイシャ)

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