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創り手たちのStory

Home > 創り手たちのStory #021 (株式会社添島勲商店 )

#021 株式会社添島勲商店2014/02/25

「人と自然の共生」がテーマの〈国産いぐさ〉のインテリア製品

中国から撤退し、あえて国産に

畳の上でゴロゴロ、フローリングでも花ござを敷いてゴロ〜ンとお昼寝。肌に触れるいぐさの感触とほのかな香り……日本人なら誰もが心和むひとときです。しかし、いまや日本で流通するいぐさ製品の約8割が海外生産。輸入いぐさは低コストですが、栽培方法や農薬の使用量などがわかりにくく、安全性が懸念されています。

そんな状況に立ち向かい、「人と自然の共生」をテーマに、安全で環境にやさしい“国産いぐさ”にこだわったモダンデザインのインテリアを提案しているのが株式会社添島勲商店です。

創業は1949年。同社のある福岡筑後地方は古くからいぐさ産業が盛んで、田んぼで米を刈り取ったあとにいぐさを育てる二毛作、そしていぐさを織る手仕事はどこの農家でも行っていることでした。創業者である添島勲氏は、いぐさ問屋として畳おもてと和敷の販売からスタート。石炭が「黒いダイヤ」ともてはやされた時代には、いぐさも「青いダイヤ」と呼ばれた成長産業でした。

しかし80年代、いぐさ業界でもコストダウンのために海外に生産拠点を移す企業が増加。同社も中国の工場と提携して一気に生産力を高めましたが、バブル最盛期にあえて中国から撤退して国産回帰しています。それは同社の売上げの半分以上を中国生産の量産品が占めていた時期。思い切った決断は「100年先、200年先でも売れる本当にいいものをつくりたい」との思いからでした。

生産者の思いと未来への可能性

「価格競争に負けるもんかと年に1億ずつ売上げを増やしていましたが、やればやるほどストレス。なんのために頑張っているのかわからなくなったのですね。その時代も繊細な技術を要する花ござだけは中国に移さず、国内の生産者と密な関係を保っていましたが、日本中が安売りに流れていくなかで国内のつくり手は『いいものをつくりたい』『腕を認めてもらいたい』とコツコツ頑張っていました。そして、『それを認めてもらえるような商売をしてもらえんか』という思いをひしひしと感じていたのです」と、三代目代表取締役社長の佐々木 徹さん。

「日本人は生活の中にうまく自然を取り入れて暮らしてきました。畳やござもそのひとつ。本物を守り、このすばらしい文化を次世代に伝えていきたい」と、佐々木社長

中国との価格競争の渦のなか、地域の生産者は減少の一途に。このままでは筑後地方からいぐさ栽培もいぐさの伝統産業も消えてしまう。そんな危機感とともに佐々木社長の脳裏にあったのは、いぐさの未来と可能性でした。

「畳や花ござはその上に直接座ったり寝転んだりするものですから、残留農薬や防虫・防カビ剤などの化学薬品の影響が心配です。より安心・安全な製品は今後ますます求められるはず。そして供給過多で価格が下落するなか、品質が差別化につながる。中国産のいぐさは刈り取り時期が早いことから日が経つと表面が黒ずんでボロボロになってきますが、国産のいぐさは年月が経つと美しい飴色になり、味が出てきます。しかも自社調べでは5倍長持ちするので、トータルコストで見れば国産品を選んだほうが安いのです」
こうしたいぐさ本来の価値を伝えていこうと、大きくシフトチェンジした同社。価格も取引先も一気に変わり、売上げは一時期10億円もダウン。生産者が丹精込めて伝統技法の粋を凝らした花ござを背負って一から販路開拓となりましたが、会社の雰囲気は明るいものでした。

「使ったお客さんに喜んでもらっている手応えがあった。評価されれば、なにより自分たちがうれしいんですよね」

有名デザイナーとのコラボで市場開拓

次にとった戦略は、よりデザイン性を高めることでした。

「国産いぐさの良さは、使ってもらえばすぐわかる。しかし、逆に言えば使ってもらわなければわからない。まずは、かっこいいね、素敵よねというところから暮らしに取り入れていただこうと思ったのです」と、佐々木社長。

 

グローバルスタンダードに和の精神を盛り込んだ〈IGSA series(イグサ シリーズ)〉。高品質の国産素材と職人たちの技を活かし、いぐさを現代の生活にあうようにアレンジした新感覚の家具です

 

どこにでも簡単に畳のスペースをつくりだせるフロア畳〈TATAMIST(タタミスト)〉。狭く仕上げた縁幅がすっきりとした印象で、気軽に使えると人気です。日焼けしにくい染色方法を採用し、日本の伝統色(墨sumi、鼠nezumi、鳶tobi、柿kaki、秦hada)を落ち着いた色目で仕上げています

もともと、90年に業界で初めて筑後独特の掛川織花ござでグッドデザイン賞を受賞していた同社。その後、積極的に出展していた家具の展示会で出会った世界的なインテリア&テキスタイルデザイナー・川上玲子氏との交流が転機となりました。

「いま、“日本的なもの”を再評価する流れもあり、足の裏に伝わるいぐさならではの心地よい感触を好む若い人が増えてきました。若者にはいぐさ=夏というイメージがなく、ネットショップでは冬場もよく売れるんですよ」とインテリア担当の添島 彰さん

「いぐさでこんなに艶やかで色彩豊かな織物が織れるのかという驚きがあったようです。クッション性があって踏み心地がよく、テキスタイルとして優れていると。そこから連携してさまざまな製品が生まれ、他のデザイナーさんとのお付き合いも広がりました」と、インテリア担当の添島 彰さん。

現在、一流のセンスを取り入れたインテリアになじむ花ござやタペストリーが人気。スツールの座面にいぐさを用いた〈IGSA series(イグサ シリーズ)や、大川家具の精鋭企業&デザイナーと競演した新ブランド〈SAJICA(サジカ)〉など、これまでにないいぐさ製品が注目を集めています。

いぐさの魅力を世界に発信

同社は〈添島のいぐさ〉を世界的なブランドにしようと、10年以上前からドイツの「アンビエンテ」やパリの「メゾン・エ・オブジェ」といったヨーロッパの展示会に積極的に出展してきました。

「健康な土で育った国産のいぐさは葉先まで身がつまり、コシと艶があります。除草剤もできるだけ使わずに栽培しています。ヨーロッパの方は環境問題への意識が高いので、こうしたいぐさの栽培の様子や二酸化窒素やアンモニアなどを吸着する空気の浄化作用について話すと非常に興味を持たれるようです」と佐々木社長。

 

添島勲商店と専属契約で意欲的に生産に取り組んでいる石橋家では、10台ほどの織機で掛川織が織られていました

 

織り上がった花ござに目を凝らし、色の違ういぐさを抜いてならす仕上げ作業。「太さや長さ、色合いも微妙にちがう天然素材のため、糸を織るよりもむずかしい。人の手でこなす作業も多く、熟練の技術が求められます」(添島勲商店インテリア部課長の石橋直樹さん)

添島の掛川織は量産することなく、腕利きの生産者がいぐさを一本一本丹念に選別し、真心を込めて織り上げています

3年前からは中国や東南アジアの展示会にも出展するようになり、富裕層を中心に好反応を得ています。広州の高級ホテルのエントランスに畳が使われたほか、飲食店のインテリアや内装材として世界中のデザイナーや建築家から〈添島のいぐさ〉〈添島の畳〉と指名されて注文が入ってくるようになりました。

「まず日本製への信頼感。そして先端の人たちはつねにアンテナを張り、より良いメーカーを探しています。やはり商品を実際に見せて、価値を伝え続けることが大切です。Rin crossingでも、多くのバイヤーさんに商品をアピールできる国内海外の固定スペースがあるといいですね。各社がディスプレーも工夫し、自分たちの商品の良さを自由に表現できるような活動を支援してもらえるといいなと思います」

株式会社添島勲商店
(カブシキガイシャソエジマイサオショウテン)

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