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創り手たちのStory

Home > 創り手たちのStory #024 (有限会社小倉クリエーション )

#024 有限会社小倉クリエーション2014/05/23

伝統の織物を復元し、インテリアにも進出洗練された新しい時代の〈小倉織〉

消えてしまった伝統織物を現代に蘇らせる

時代の波にのまれて消えてしまった織物を復元し、ふたたび時代の波に乗せる——。
いま、福岡県北九州市小倉北区で、そんな物語を織りあげているのが有限会社小倉クリエーションです。

蘇った伝統の織物は「小倉織」。江戸時代に豊前小倉藩(福岡県北九州市)で生まれた小倉織は、綿が貴重だった時代に藩士の妻や娘たちが綿を栽培して紡ぎ、織りにして徳川家へも献上していた丁寧で良質な木綿の布織物でした。縦糸が通常の綿織物に比べて3倍も多く、シルクのような艶がありながら丈夫だったことから、幕末には「袴といえば小倉袴」と言われるほど武士の袴の主流生地となります。

しかし、明治時代に洋服の着用が増え、袴の文化は廃れてしまいます。危機に陥った小倉織でしたが、白と黒の綿糸を縒りあわせて小倉織らしい高密度で織りあげた「霜降り」と呼ばれる生地を生み出し、夏の男子学生服の主流として再び全国に普及。その技術は各地に広がり、備中小倉、土佐小倉などが生まれますが、戦時下の物資不足や安価な化学繊維が登場していくなかで織り手がいなくなり、とうとう小倉織は途絶えてしまいました。

スタート時は10しかなかった柄は、いまでは60以上に。「つねに新しく斬新なイメージをもっていただけるよう、あえて定番品はつくりません。むしろ人気のある柄ほど廃盤にし、また新たなデザインを試行錯誤します」と渡部社長

「小倉織がルーツとなった他の産地は、職人、組合、行政が一体となって伝統を守り続けたのに、本家本元の小倉織は行政の助けも得られず姿を消してしまったのです。戦争で小倉城が焼け落ちたことから資料も残っていない。小倉は重工業の街となり、私もそうでしたが地元の人たちさえ、かつて全国的に名の知られた織物の産地であったことを知りません。伝統は、たった十数年途切れただけで消えてしまう。それはとても寂しいことですね」と、小倉クリエーション代表取締役社長の渡部英子さん。

染織家の姉が復元し、実業家の妹が日常使いの製品に

資料も人の記憶にさえ残っていないなか、小倉織はどのように現代に蘇ったのでしょうか。そこには、不思議な縁とも思える姉妹の絆があります。

20代の頃、ジャズピアニストだった渡部さんは、次第にアーティステックな布の世界に惹かれ、産地めぐりをはじめます。「実家が料亭で母が日常的に着物を着ており、子どもの頃からお茶席の手伝いもしていたことから、自然に興味を持ったのだと思います。日本には桐生など世界的に評価される織物産地もあると知り、布地の持つ表現力に感銘を受け、いつか布の専門店をもちたいと考えるようになりました」

その頃、渡部さんの実姉で、染織家である築城(ついき)則子さんが、地元の骨董屋で小倉織の小さな古裂(こぎれ)と運命の出会いをします。「地元にこんな織物があったとは!」。築城さんは驚くべき探究心で、電子顕微鏡まで用いて古裂を分析し、1984年に復元に成功。さらに試行錯誤を重ね、糸をより細く多くして、桜の咲く前の枝からとれる可憐なピンクと老木の成熟したピンクを使い分けるような繊細さで木綿の糸を染め分けて、すばらしく洗練された新たな小倉織を織りあげました。

 

手織りの小倉織。この微妙なグラデーションと立体感、そして築城さんならではの配色が機械織りにも息づいています

 

山野で採取した草木や枝で染めた手織りに用いる木綿糸。機械織りでも築城さんと染色工場の間で幾度も試作を重ね、草木染めの色合いに限りなく近づけています

「小倉織は長年使用すると、なめし革のような質感になり、独特の光沢が出てきます。昔の柄をそのまま再現するのではなく、赤や黄色、グリーンといった鮮やかな色糸を取り入れ、現代のライフスタイルに合ったデザインを心がけています」と〈縞縞SHIMA-SHIMA〉のデザイン監修を行う染織家の築城則子さん

「縦糸は2300本。一色を表現するのに6〜10段階ものグラデーションで濃淡をつけます。こうした織物は世界でも類がなく、非常に手間ひまがかかりますが立体的でエッジのきいた縞が表現でき、捌け染めのような効果を醸し出す美しい仕上がりとなります」と築城さん。

見る者をハッとさせる斬新な作品の数々。しかし、多くの展覧会で高評価を受けるなかで、築城さんの胸には「これだけでよいのか」という疑問も生まれはじめました。

「もともと小倉織は日常で愛用されていた庶民的なもの。手織りでは生産量に限りがあり、高価にもなってしまう。職人が技を伝承することは大切ですが、それだけでは小倉織が昔のように広まらないのではないか」

布に魅せられていた渡部さんも、「この魅力的な小倉織を世界に知ってもらいたい。これからの時代にあった、より求めやすく、日常で愛される品をつくりたい」と思いはじめていました。そして、1996年に小倉クリエーションを設立。小倉織を機械で織り、量産するという初めての挑戦が始まったのです。

妥協しない、手を抜かない。こだわりの色彩表現

発表するやいなや海外で高い評価を得た機械織りの小倉織ブランド〈縞縞SHIMA-SHIMA〉。「地元の人もまだ知らないのに!」と慌てて、ちょっとしたお土産に最適な巾着などの小物をつくって空港や駅売店で販売し、地元に小倉織をアピールしたというエピソードも

同社が発信する小倉織のブランド〈縞縞SHIMA-SHIMA〉は、すべて築城さんがテキスタイルデザインを担当。小倉織の特徴が際立つリズム感のある縦縞と、汎用品とは思えない絶妙かつ洗練されたグラデーションの色彩表現が魅力です。

「正直言って、たいへんでした!」と、当時を思い出して天を仰いだ渡部さん。「まず、織ってくれる織機屋さんが見つからない。縦糸が通常の3倍で、1色を表現するのに4色から10色の糸をグラデーションさせたいと言うと、まず断られました。糸を並べて織機に通すのは手作業ですから、そんな細かい作業はとても割にあわないし、できる職人もいないというのです」

 

2010年にグッドデザイン賞を受賞した〈縞縞SHIMA-SHIMA〉の風呂敷。プリントではないので生地の表と裏にデザインの差がありません

 

持ち手が両端にあるので、口が広くモノが入れやすい〈シンプルBAG〉。モノを入れるとコロンとしたかわいいカタチに

やっと福岡に引き受けてくれる工場を見つけましたが、今度は色の問題が発生しました。糸から染める「先染め」の織物である小倉織が自由に表現するには、絵の具のように多くの色数が必要です。そして量産で安定した色味を実現するためには化学染料を用いるしかありませんが、それが最初はなんと10色しかOKが出なかったのです!

「染織家である姉の目は非常に厳しく、正直まいった……と思いましたね。でも、もともと製品づくりに妥協しないために、経営陣ではなく、あくまで外部デザイナーというポジションをとってもらっていたのです。伝統工芸の世界にいる姉が賛否両論あるなかであえて汎用品に関わるのは、小倉織の進化形をつくりたいという思いから。そして、へんなものに手を出したと思われたくない、いいものをつくりたいという強い思いは私も同じです。なんとしても手を抜かないというのが〈縞縞SHIMA-SHIMA〉のひとつのルールなのです」と渡部さん。

唯一無二の商品力で切り拓いた販路

こうして、苦労の末にやっと製造販売にこぎつけたのが2007年のこと。ところが、「このときになって、経営者として販路を開拓しておかなくてはならなかったと気づいた」と笑う渡部さん。とにかくいいものをつくりたいという一心だったのです。

しかし、この唯一無二の存在感を放つ商品こそが、販路を連れてきてくれました。ブランド展開後、すぐさま福岡産業デザイン大賞を受賞し、2008年、2009年と続けて経済産業省後援の生活関連産業ブランド育成事業の海外出品商品に選ばれます。フランクフルト、パリでの見本市では、初参加からヨーロッパ各地のショップと取引が決まり、誰もが知るハイブランドがすぐさま契約を申し込んできたのです。国内でもトップバイヤーたちから次々声がかかりました。

主力製品は布地ですが、バッグデザイナーや照明デザイナー等とのコラボレーションにも積極的。「小倉織をもっと気軽に暮らしに取り入れていただけるようなセンスある製品をつねに提案し続けたい」と渡部さん

「布地の知識がある方ほど、生地を一目見て『美しい』『すごい。信じられない』と驚かれます。OEMで弊社の名前が出なくても、すぐにうちの生地だとわかる。色彩も手間も決して真似できません」

機械織りならではのメリットもあります。それは手織りでは織ることのできない最大140センチ幅まで織れるようになったこと。機械織りでも通常120センチが国内の一般的なサイズですが、海外の要望に合わせて技術開発を行い、衣料だけではなく、カーテンやソファーの張り布地といったインテリアのジャンルにも進出しています。

2009年、2010年には経済産業省のジャパンブランドに「小倉織」が採択され、ますます世界から注目を集めています。

「行政の後押しも得て、小倉織がふたたび注目されていることが本当にうれしい。伝統工芸というだけではなく洗練された新しいデザインとして発信していきたいと思っています。Rin crossingでは他業種とのコラボレーションにも挑戦したい。海外をはじめ新しい販路も期待しています。またRin crossingそのものが登録企業をきちんと精査し、選ばれたことがブランド力となる組織であってほしいと願っています」

2014年4月1日~8日、銀座三越で開催された「縞−江戸×小倉−現代に蘇る幕末の縞」では、パリ在住の若手デザイナーとのコラボレーションで誕生した「HANS ITO×SHIMA-SHIMA」(ウェア)、「Xi by N×SHIMA-SHIMA」(帽子)など新しいコレクションを発表。築城則子さんのギャラリートークは大盛況で、多くのお客様に小倉織の魅力を伝えました

「国際見本市インテリア ライフスタイル」に出展します

2014年6月4日(水)〜6日(金)、東京ビッグサイトにて開催されるインテリア・デザイン市場のための「国際見本市インテリア ライフスタイル」に、有限会社小倉クリエーションほか、Rin crossing参加メーカー計42社が出展します。

実際に商品を手にとってみるチャンスです。ぜひ、お越しください。

詳細はこちらをご覧ください

インテリアライフスタイル公式サイト

有限会社小倉クリエーション
(ユウゲンガイシャコクラクリエーション)

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