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創り手たちのStory

Home > 創り手たちのStory #028 大東寝具工業 株式会社

#028 大東寝具工業 株式会社2014/09/25

京の寝具メーカーが伝統と技術を生かして発信する〈眠りとくつろぎ〉の商品

“町のふとん屋さん”から、インターネットの人気ショップへ

素肌にふわりと「空気をまとう」ようなガーゼケットやパジャマが心地よい眠りを連れてくる……

疲れたからだを癒し、人生の3分の1を過ごすといわれる「眠り」の時間。睡眠とくつろぎを追求し、寝具から寝室の環境まで幅広くプロデュースして注目を集めているのが、目利きの厳しい京都で約90年続く寝具メーカー・大東寝具工業 株式会社です。

創業は1925年。現・代表取締役である大東利幸さんの祖父が開業した「大東ふとん店」がはじまりでした。1964年に法人化。大東社長は大学卒業後、大手スーパーに入社し、優秀マネジャー表彰を受けるほど活躍していましたが、バブル崩壊目前の1989年に経営状態が悪化したことから家業に呼び戻されました。

「私たちがもっとも大事にしているのは顧客目線。お客様が本当に欲しいものはなにかを考え、価値を伝えて、販路を広げるオムニチャネル化にも対応していきたいと思います」と大東社長

「会社とはいえ、僕が子供の頃は“町のふとん屋さん”。職住一体で、両親が気難しいお客さんや職人さんとのやりとりに苦慮しているのを見て、弟と二人で『継ぐのはイヤやな』なんて話していました。でも、やはり家業に愛着があったのでしょうね。あるとき、大きな企業の脇を通りかかると、従業員が一斉に並んで元気に体操をしていた。それを見て子供心に『いずれはうちもこんな大きな会社にするんだ!』と思った記憶があります」と、大東社長。

しかし、流通業の最前線から家業に戻ると、売上げも仕事のやり方も従業員の意欲も「このままではまずい」と焦ることばかり。婚礼寝具などの需要が減って業界自体も縮小し、地区に何軒かあった同業者は次々潰れていきます。

そこで大東社長は、寝具メーカーの枠組みにとらわれず、「快眠とくつろぎを提供する」という発想で新たな取り組みに挑戦。1990年にはカーテンや室内装飾の提案を行なうインテリア部門を立ち上げ、直営ショップをオープン。2001年には、いちはやくインターネット・ショッピングサイトを開設し、楽天市場インテリア部門において初代ショップ・オブ・ザ・マンスを受賞するほどの人気ショップとなり、みごと業績を回復したのです。

日本の伝統製法で、手間ひまかけて“上質”を生み出す

とはいえ、悩みもありました。当時、約3億円の年間売上げのうち、3分の2以上がインターネット販売での成果でしたが、その売上げを支えていたのは、ほぼ他社製品。つまり、仕入れて売る「販売業」で利益を得ていたのです。

「ネット市場が広がると価格競争に苦しめられ、価格競争に巻き込まれないオリジナルの製品づくりが必要だと感じました。なによりもともと製造業で、自分たちでつくれるのだからという思いがあった。どれほど規模を縮小しても工場の機能を手放さなかったのだから、もう一度自分たちの手でお客様が望む最高の寝具をつくりたいと思ったのです」

こうして生まれたのが、同社の代表作である無添加のガーゼ生地〈京和晒綿紗(きょうわざらしめんしゃ)〉です。

 

100%ピュアコットンガーゼの〈京和晒綿紗〉は、ホルムアルデヒドなど人体に影響を与える物質、および残留物はゼロ。 生後間もない赤ちゃんや敏感肌の方でも安心して使える素材です

 

布団もクッションも熟練の職人さんが一つひとつ手で綿入れを行なっています。機械で詰めるとどうしても固くなり、偏りも出てしまいますが、手で詰めることで四隅までしっかり均一に綿を詰めることができます

大東寝具の京和晒綿紗は、いまや希少な昔ながらの和晒釜による綿加工で、4日間かけて天然繊維である綿素材にストレスをかけずに仕上げています。薬品などを用いる一般的な綿加工工程は40分といいますからたいへんな手間ひまですが、より立体的な空気層を保ち、柔軟材無添加なのに手に触れると驚くほど柔らかです。

さらにこのピュアコットンガーゼを独自の縫製技術で重ね合わせ、洗うほどに風合いと表面のふんわり感が増し、いつまでもやさしい肌触りが楽しめるシンプルで美しいパジャマやガーゼケット、枕カバーなどを生み出しました。

この品質が評判を呼び、俵屋旅館などの老舗旅館や高級ホテルで採用されているほか、2007年には京都市中小企業支援センターの「オスカー企業」に認定されています。

体感・体験型のショールームサロン「ねむりの蔵」をオープン

「ねむりの蔵」2階では、睡眠健康指導士がそれぞれのお客様にあった眠りの環境を提案しています

 

「中につめる素材も何十種類も試して、これだというものを見つけたんですよ」と和子会長

 

クッション座椅子〈tetra〉は、京座布団の製造技術を活かし開発。中材に大きめの発泡ビーズ素材を用いているため、優れたフィット感があり片手でラクラク持ち運べるほど軽量。さまざまなカバーを取り揃え、現代の和でも洋でもマッチする高いデザイン性が魅力です

大東寝具の製品は、いまや寝具だけにとどまりません。オンラインストアでヒットした〈tetra(テトラ)〉は、座ると背もたれが自然に立ち上がり、座椅子のような感覚で腰かけることができる三角形のクッション。発案者は、大東社長の母で会長の大東和子さんです。

「寝具メーカーとしての素材の知識や経験を生かし、くつろぎをコンセプトに、あるといいなと思うものを形にしています。〈tetra〉は最初、洋梨型を思いついたのですが、つくってみたら成形がむずかしい。試行錯誤の末、三角形なら縫製しやすく、安定感があると気づきました」と、和子会長。

2013年には、建築士である実弟の大東康文さんを中心に、眠りの環境改善を提案するための住宅リフォーム事業〈So-Ya(そや)〉に着手。2014年春には伏見区の本社直営店をリニューアルし、枕から寝室のリフォームまで相談できる体感・体験型のショールームサロン『ねむりの蔵』をオープン。眠りをテーマにしたカフェも併設し、その包括的な取り組みが話題を集めています。

「従業員教育の一環として滋賀医科大学で睡眠学講座を受講し、現在13人が睡眠健康指導士の資格を取得して、『ねむりの蔵』での枕のオーダーなどに対応しています。リフォームも、灯りの位置やベッドの位置など眠りの観点からご提案することで、より快適な空間となったとご満足いただいています」と、大東康文さん。

「健康を支える眠りの環境に興味をもつ方が増えており、若い新婚さんからご高齢の方まで年代問わずにリフォームのご相談があります」と、住宅リフォーム・建装事業部の大東康文さん

現在、同社売上げの約8割が自社製品となりました。眠りのプロデューサー、そしてオリジナリティと確かな技術を持つ製造販売メーカーとして、しっかりと基盤を築いています。

世界のデザイナーとのコラボでこれまでにない商品づくり

取材に伺った日は、フランスから来日した服飾デザイナーと大東社長が意見を交わしていました。京都市とパリ市が2014年1月に調印した共同宣言に基づき、パリのデザイナーと京都の職人が共同で商品開発をする取り組みに、大東寝具が選ばれたのです。

 

共同で商品開発を行なった服飾デザイナーのジュディット・ブルダンさん(右)と、エルザ・ブルダンさん(左)姉妹

2人の女性デザイナーが注目したのは、やはりガーゼ生地の京和晒綿紗。「美しくナチュラルな魅力があり、伝統を守る姿勢にも惹かれます。ガーゼに綿を挟み込む技術や京座布団の“三方とじ”などをデザインに取り入れ、フレンチファッションのセンスと融合して、これまでにないルームウエアを生み出します」とエルザ・ブルダンさん。

開発した商品は来年1月にパリ、同2月に京都市内で行なわれる展示販売会で発表されます。昨年は、ロンドンのデザイナーとのコラボ製品を発表しており、これから世界に向けても商品開発・発信をしていきたいと考えています。

「我々のような中小企業は、公的なバックアップがあるからこそトライ&エラーができます。Rin crossingにはさまざまなターゲットに向けてのコラボ商品等の開発や、新たな販路開拓のお手伝いを期待しています。これからもチャンスを生かして、快適な眠りと上質なライフスタイルの提案を行なっていきます」

大東寝具工業 株式会社
(ダイトウシングコウギョウ カブシキガイシャ)

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