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創り手たちのStory

Home > 創り手たちのStory #038 株式会社浅川製作所

#038 株式会社浅川製作所2015/07/24

江戸型紙とメタルの融合で現代に新たな伝統の美を伝える〈KATAGAMI METAL®〉

葛飾の地場産業から発展したダイカストメーカー

洗練されたメタルのフォルムに浮かび上がる伝統の和柄───。

江戸時代からの文様を受け継ぐ「江戸型紙」の矢田型紙店と、多種多様な金属製品で知られる浅川製作所のコラボレーションで誕生した〈KATAGAMI METAL®〉(カタガミ メタル)シリーズです。

東京都葛飾区に本社を構える株式会社浅川製作所は、会社設立から57年を迎えるダイカストメーカー。創業は1953年(昭和26年)、浅川弘人代表取締役会長の兄が、葛飾区の地場産業であるアンチモニー製品の製造を始めたことがきっかけでした。

アンチモニーは、比重が銀に近い合金素材。当時は、鋳造、加工メッキ、塗装など、すべて職人の手で加工され、海外輸出されていました。経済成長に伴い、生産が追いつかないほど栄えた産業でしたが、同社は苦戦を強いられたといいます。

「うちは後発メーカーで、優れた職人の確保がむずかしかったのです。そこで当時、自動車産業においてダイカスト機械鋳造で部品がつくられていたことに着目し、日本で初めてテーブルウェア製品のダイカスト化に挑戦。それが成功したことが、当社の画期的な転換点となりました」と浅川会長。

「いま従業員が90人くらいいますが、その半分くらいはオリジナル製品で食べさせていきたい」と語る会長の浅川弘人さん

ダイカスト (die casting) とは、金型鋳造法のひとつで、金型に溶融した金属を圧入して鋳物を短時間に大量生産する鋳造方式のこと。また、浅川会長は長年不可能とされていた亜鉛合金のハンダ技術も開発しています。

70年代以降、劇的な為替変動により、輸出産業であった金属加工業はかつての勢いを失いました。しかし、競合が廃業していくなかで、浅川製作所は独自の高い技術を武器に、企画から設計・製造まで一貫して行なうメーカーとして業績を伸ばし、自動車部品等で安定した受注を獲得。さらに、大手化粧品メーカーの卓上ミラーやオリジナル玩具、建築部品など、幅広い分野で製品づくりを行なってきたのです。

デザインで差別化できるオリジナルブランドを目指す

本社ショールーム。ずらりと並んだ製品から、同社の歴史が垣間見えます

現在、同社の主力は自動車部品等のOEM事業。ISO9001番、14001番を取得した佐久工場(長野県)でより高品質で安定した受注生産を追求する一方で、浅川会長には自ら発信するオリジナルブランドに対する並々ならぬ思いがあります。

「うちの原点はテーブルウェア。イギリスの銀器に負けないクオリティのものをメッキ合金でつくろうと米国のバイヤーさんたちと一緒に苦心してね。苦労も相当でしたがやりがいがあった、そういうモノづくりを復活させたい」

そして浅川会長は、「これからの時代はデザイン」と言います。

「時代はもう、だいぶんいろんなモノをつくれるんですよ。技術的にも簡単に、いろんな国でなんでもつくれる。唯一、差別化できるのがデザインです」

自ら技術開発に取り組んできた浅川会長の言葉には重みがあります。その思いを受け、創立50周年を機にこれからの同社の看板となるオリジナルブランドとして開発されたのが〈KATAGAMI METAL®〉なのです。

地元の縁と信頼で実現したコラボレーション

「伸び続けるインバウンド(訪日外国人旅行客)の需要に応えつつ、日本人の心に響き、持っていると心が豊かになるような製品をつくっていきたい」とデザイナーの飯島 浩さん

開発がスタートしたのは、2011年11月。検討の結果、「過去に実績のある化粧品関係の製品で」と方向性が決まりましたが、当時、同社は希望退職者を募るほど業績が低迷しており、開発費をかけることは困難でした。

そこで、同社デザイナーの飯島 浩さんが考案したのが、「古い金型を使い、絵柄をカスタマイズすることでOEM製品にも流用できる“共用ベース”をつくる」という発想です。

「モノが溢れているいまの時代、良いものをつくっても売れないというのが一番おそろしいですよね。良いものであることは当然、そこに”新しいコト”が入った商品をつくりたいという強い思いがありました。そこでOEMにも対応できる商品でリスクを軽減しつつ、伝統工芸を取り入れた新製品はどうだろうかと考えたのです」

そして本物とは何かを考えるなかで、飯島さんが「あの方なら」と閃いた人物がいました。それが同じ葛飾区の江戸型紙の伝統工芸士で、着物染色の人間国宝・小宮康孝氏や老舗着物メーカー「竺仙」の型紙を多く手掛ける矢田幸蔵さんでした。

葛飾区伝統工芸士認定、東京都優秀技能者(東京マイスター)知事賞受賞の江戸型紙の伝統工芸士・矢田幸蔵氏が製作した型紙を、エッチング加工で金属に再現しています

「矢田先生とは、『葛飾区産業フェア』の実行委員会で知り合いました。お話しをしたことはなかったのですが、ポスターの選考会などで絵に対する感覚が一致しており、互いに発言がわかる唯一の相手になっていたんです。そこで思い切って型紙をお借りしたいとお願いしたところ、すぐに『いいですよ』と快諾してくださったのです」

矢田さんはこれまで大手メーカー等からのいろいろな誘いにもなかなか乗らないという評判の人で、この話を聞いた奥様は、「どうして?」と驚かれたそうですが、やはり2年間の実行委員会を通じて飯島さんの感性やモノづくりの姿勢を信頼していたのです。こうして現代の技術と伝統の技の幸せなコラボが実現。2012年10月に、それぞれ5つの紋様の〈手鏡〉と〈宝物入れ〉が発売されました。

世界に本物の日本文化を伝えたい

〈KATAGAMI METAL®〉は、型紙の凹み以外の部分にマスキングをかけたメタルを酸の溶液に浸す“エッチング”の技法で模様を浮き出させています。メッキの光沢と繊細な江戸紋様の融合の美しさが評価され、〈手鏡〉で第8回東京の伝統的工芸品チャレンジ大賞優秀賞、〈宝物入れ〉で第7回TASKものづくり大賞奨励賞、シリーズとして第7回葛飾ブランドの認定を受けています。

 

〈KATAGAMI METAL® 手かがみ 銀色〉
銀色メッキ仕様は着物らしい華やかな模様を採用しています

 

〈KATAGAMI METAL® 宝物入れ 黒色〉
小物入れには、蓋の裏側に鏡が付いています。黒色メッキ仕様はかわいさと渋さが人気です

〈KATAGAMI METAL® 手鏡s〉は、「外出時に携帯したい」というお客様の要望を取り入れて製作。市場の反応がよかったことから、金型も新たに製作しました

2013年2月、Rin crossingのブースで初めて「東京インターナショナルギフトショー」に出展。三越などの百貨店ほか、美術館や博物館のミュージアムショップ等で販売されています。世界に本物の日本文化を伝えたいとの思いから、2014年2月にはドイツ・フランクフルトで開催された「アンビエンテ」に出展。フランスのハイブランドとの取引につながろうとしています。

第3弾の〈KATAGAMI METAL®手鏡s〉も好評発売中。当初の狙い通りOEMにも力を入れ、すでに銀座和光や東レのオリジナル小物入れを製作しています。

「まだ3年目ですから、販路を含め商品を大切に育てているところです。Rin crossingは積極的に展示会や商談会に誘ってくれ、一番この商品の面倒を見てくれている機関だと思っています。これからも一般企業にはできない行政ならではの提案を期待しています」

株式会社 浅川製作所
(カブシキガイシャ アサカワセイサクショ)

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