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創り手たちのStory

Home > 創り手たちのStory #004 (株式会社松井ニット技研)

#004 株式会社松井ニット技研2012/11/27

一流バイヤーたちが賞賛する“世界オンリーワン”のニット製品

逆転の発想で挑む、手間ひまかけたものづくり

織都(しょくと)と呼ばれる繊維産地・群馬県桐生市。
その地に、モダンアートの殿堂・ニューヨーク近代美術館「MoMA」のショップ(スカーフ部門)で販売数トップの座を守り続けるマフラーを製造する企業があります。1907年創業の老舗、松井ニット技研です。

虹のように多彩なストライプが印象的なそのマフラーを巻くと、襟元が華やぎ、心まで楽しくなりそう。「我々は、幸せを売る男なんですよ」そう言って代表取締役社長の松井智司さんは、やさしく目を細めました。同社は、兄である智司社長が製造を、商社勤務経験のある弟の松井敏夫専務が営業を担当。従業員8人という小規模で世界市場に挑んでいます。

 

松井智司代表取締役社長。毎年開かれるジャパンクリエーションやテキスタイルプロモーションなどの繊維展示会には欠かさず出品するのが方針。真似されるのを恐れるメーカーも多いなか、「うちの製品は絶対に真似できませんから」と自信をのぞかせます

安価な中国製品に押され縮小傾向の国内繊維産業ですが、あえて効率を追わず、手間ひまをかけたものづくりで存在感を示してきました。
主力製品はマフラー、帽子、手袋。特徴であるハイ・ゲージのリブ編みと多色づかいは、真似しようとしてもできない“世界オンリーワン”の技術です。

風合いにこだわり、昭和30年代の編み機で製造

ハイ・ゲージでやわらかな風合いを追求し、古い低速ラッセル編み機を使い続けます

築100年を超える木造建ての工場からは、カッタンカッタンと穏やかな音色が聞こえてきます。稼働しているのは昭和30年代の低速ラッセル編み機。30年ほど前に政府主導で繊維産業の構造改革が行われた際、ほとんどの同業者は効率の良い編み機に買い替えましたが、同社では古い機械を手放すことなく、改良・改造をしながら大事に使い続けてきました。

最新の編み機に比べれば、その編みの速度はおよそ5分の1です。
「しかし、この編み機だからこそハイ・ゲージでやわらかな風合いのリブ編みが実現できるのです。高速機では糸にテンションがかかり過ぎて手触りが硬くなってしまう。首まわりの商品ですから、この風合いの違いが肌触りの心地よさに大きな差を生みます」と智司社長。 “道具のお兄さん”、いわば「道具」の延長にあるような機械のため、熟練の職人がつきっきりで仕上げます。キズもできやすいので、手作業で修復します。

 

「整経機」も、昔ながらの機械を改良を重ねて大切に使い続けています

6色のマルチカラーも、同業者が敬遠する仕事。6種類の糸を色の順番通りに必要な本数を数えて編み機に並べる「整経(せいけい)」の作業が大変なのです。
「コストを考えると色数を落とし、楽に量産したほうがいい。しかし、そうした時代の流れに逆らい、より美しい本物をつくろうと愚鈍に取り組んできました」

“普遍の美”を追求した奇抜な配色

諸外国に押されて業界全体が衰退し、激しい価格競争が起こるなかで生き残った理由は、「言われた通りにつくればいいという発想ではなく、アイデア、企画を提案し、うちにしかできないものを追求していったから」と敏夫専務。「そのほうが自分たちも楽しいし、やりがいがある。効率ばかりではない発想をもてるのは日本人の美点だと思います」

アート性の高い配色も魅力です。糸は既成の180色から選び、1パターンを決めるのに50〜60種類もの微妙な配色差で試作を行います。「受信力がなければ発信できない」と日頃から芸術作品に触れ、インターナショナルカラーに日本古来の色や印象派の絵画から得たインスピレーションを加味して“普遍の美”を追求しています。

「奇抜なカラーですが、輸出先の北米、ヨーロッパ、そして日本のどこの街並みやファッションにもよく合うと言われます。こうした配色のマフラーは他にはありません」と敏夫専務。

こうした独創性は、同社の技術に惚れ込んだコム・デ・ギャルソン、イッセイミヤケ、ヨーガンレールといった優れたブランドのOEMに取り組んだことで、より洗練されました。

「川久保 玲さんはよく工場に来ました。驚くような発想をされるので、私たちはつねに要望以上の品質を出そうと闘争心を燃やしていましたね」

2005年に自社ブランド〈KNITTING INN(ニッティングイン)〉を設立。感性の高いお客様に手に取ってもらえるミュージアムショップやセレクトショップ、高級ホテルを中心に直販で商品を卸しています。

衣料品では珍しい「縦縞のニット」に挑戦

いま、同社が挑戦しているのが、世界オンリーワンの編み地を生かした衣料品です。開発に4年、この秋、縦縞ストライプが鮮やかな女性用ゴルフウエアを新発売しました。

「ニットは横編みのほうが形を取りやすいため、セーターなどはボーダーのデザインが主流です。縦編みは、海外ブランドでうまく取り入れていることがありますが非常に少ない。そこで、あえて縦編みで仕掛けていこうと試行錯誤を重ねました。大手にも真似できないオンリーワンのゴルフウエアです」と智司社長は胸を張ります。

世界初のストライプ・リブ編ゴルフウエア

 

カシミヤストライプリブマフラー。ほかにもバンダイとのコラボでガンダムカラーのマフラーをつくるなど、ユニークな企画にも意欲的です

縫製も国内で行い、経済産業省の地域資源活用事業に認定されています。
しかし、セーターの産地といわれた地区の衰退が激しく、技術力のある縫製業者を見つけるのに非常に苦労しました。

「いま日本のものづくりを大事にして、価値を認めていかないと、本当に良いものができなくなってしまいます。Rin crossingには地域資源の活性化と優れたメイドインジャパンの紹介、また海外展開できちんと利益が出る仕組みづくりを期待しています」

2名の職人さんのほか、それぞれに専門スキルを持つ少数精鋭で製造を行っています。「手で糸の張り具合を見て、糸が切れたら機械を止めてガイドに糸を通し直して……すべて手作業ですから目が離せません」と職人さん

 

製造量は一日100枚前後。スピードや効率とは無縁でコスト設計も高くなりますが、客層を絞り、直販を行うことでお求めやすい価格に抑えています

株式会社松井ニット技研
(カブシキガイシャマツイニットギケン)

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