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創り手たちのStory

Home > 創り手たちのStory #040 堀内ウッドクラフト

#040 堀内ウッドクラフト2015/09/25

森林の環境を守りながら人々に安らぎを与える〈ウッドクラフト〉

日本で初めて「医療用木製玩具」を開発

木の箱を開けると、すべて木でできた小さな病室と手術室が現れました。可愛らしいベッドやストレッチャー、点滴台まであります。お医者さんや看護師さんが、それらを使って病気のお子さんに説明を始めます。これからどんな治療や検査をするのか、そして「大丈夫、怖くないよ」と……。

いま医療の現場で、こうした「医療用玩具」が注目されています。小さなお子さんは病院の検査や治療を怖がることがあるため、医療機器の形をした木製おもちゃを使ってわかりやすく説明し、事前に遊んでもらうことで不安を取り除くのです。

〈ぷれぱらウッド 手術セット〉遊びながら検査や治療の説明を聞くことで、子どもたちは前向きに治療に取り組めるようになります

小田原にほど近い神奈川県足柄上郡にある堀内ウッドクラフトは、日本で唯一この医療用玩具を製造しているメーカーです。小田原は1000年以上の歴史を持つ漆器や寄木細工などの木工の産地。創業者の堀内良一さんはこの地に生まれ、小田原漆器の漆を塗る前の白木の器をつくる木地師(きじし)として10年間修行を積んだのち、1993年に28歳で独立しました。創業以来、堀内さんひとりで製品の企画から製造販売まで手がけています。

「木工職人だった父の影響もあり、最初は木地師にでもなるかという気持ちで木工の世界に入りました。修行中には2年ほど海外放浪もしたんですよ。バイクでオーストラリアを一周したり」とニコニコ。口ひげをたくわえたやさしい笑顔が印象的です。

堀内ウッドクラフト代表の堀内良一さん。現在、地元の神奈川県から依頼されたノベルティグッズの製造、医療用木工玩具の開発・製造、他社へのOEM供給が業務の3本柱です

堀内さんは独立後、修行をした漆器問屋の下請け仕事をしていましたが、2000年頃から目に見えて仕事が減り始めました。世の中のライフスタイルの変化から、他の伝統工芸と同じく、漆器そのものの需要が低迷していたのです。

「仕方なく、3年ほど他業種で派遣の仕事もしました。でも、やっぱり木が好きで、なんとか木工で食っていきたいと思ったんです。ならば、このまま下請け仕事が来るのを待っているだけではダメだ。差別化するためにオリジナルの製品を開発してみようと思ったのです」

FSC森林認証を取得し、環境に配慮した製品づくり

しかし、職人である堀内さんにとって、製品開発はわからないことだらけ。必死でさまざまな勉強会に参加するうちに、工芸研究所のISO14000の講義で、環境への負荷ができるだけ少ないものを選んで購入する「グリーン購入」の考え方を知りました。

「これからは木製品も環境配慮型になる」と感じた堀内さんは、地元の木材を使用した木製文房具やノベルティをつくり始めます。県産材使用製品の展示会に出展しながらさらに森林について勉強を重ね、2004年にはFSC森林認証を取得しました。

OEM製品を含め、森林認証材を使った製品にはFSCの認証マークを入れることが可能。FSC森林認証制度とは、適切な森林経営(計画的な伐採や植林)がなされていることを第三者が審査し認証する国際的な制度です

いまでこそ環境に配慮してFSC森林認証を取得する企業が増えていますが、当時の日本ではまだ知られておらず、とくに同社の事業規模での認証取得は非常に珍しいことでした。でも、そのときにはもう堀内さんの中にはしっかりと、今後の事業の方向性や信念が築かれていたのです。

「当時は子どもが小さかったので、豊かな森を守り、よい環境を子どもたちに残したいという想いもありました。現在、堀内ウッドクラフトは環境や心、体にやさしい木を素材としたモノづくりを提案し、循環型社会への貢献と森林保全、地球温暖化の抑制に取り組んでいます。木材の仕入れから加工まで一貫して行い、森林認証材の追跡や伐採後の経過もサイトを通じてお知らせしています」

いまや森林環境は世界的に懸念されている問題。認証材を使用していることからWWF(世界自然保護基金)からノベルティ製作の発注を受けるなど、小規模ながら同社の姿勢は高く評価されています。

そして、神奈川県森林再生課の紹介で神奈川県立こども医療センターからの相談を受け、前述の木製医療玩具〈ぷれぱらウッド〉の開発につながったのです。

グッド・トイ2015選定&林野庁長官賞を受賞した〈ぷれぱらウッド「ドクターバッグ10」〉。医療学会でもたびたび紹介され、現在、国内で100を超す医療機関に納入。米国やベルギー、中国の医療機関にも採用されています

地元の寄木細工と木地師の技で海外展開

Rin crossingには、寄木細工のスツールを登録しています。〈ぷれぱらウッド〉ののちに開発した製品です。

「おかげさまで〈ぷれぱらウッド〉は海外の病院からの発注も多く、黙っていても口コミで注文が入ってきます。さらに一般の方にも広く木製品の良さを知っていただくために、暮らしの中に取り入れやすい製品をと考えました」

スツールを選んだ理由は、「本職の寄木職人はつくらないものだから」。寄木細工は伝統的に小さく緻密な細工が上等とされるため、スツールの座面を寄木でつくるという発想は斬新で大胆なものでした。そして座面をなめらかな曲線に削る技術は、堀内さんが木地師として鍛え上げた「お盆をろくろで削る技」があってこそです。

 

〈ichimatu stool〉(左)と〈shimasihima stool〉(右)。色の違う木を接着する寄木細工の技術を使用した、かわいいスツール。〈shimasihima stool〉は、第7回全国「木のクラフトコンペ」審査員賞を受賞しました

工房の風景。ろくろと棒カンナを使って器やお盆の形を削り出す木地師の技が製品の随所に生かされています

「小田原らしく、オリジナリティもある製品ですが、営業に不慣れなこともあり、こちらはなかなか売れませんでした。悩んでいたとき、中小企業庁のメルマガでRin crossingを知り、販路開拓をしたくて登録したのです」

今年度は初めてRin crossingのブースでインテリアライフスタイル展に出展し、バイヤーさんや他業種の方々との出会いや手応えがありました。10月には新たに寄木細工の〈けん玉〉を新規登録します。けん玉とは意外な製品ですが、そこにも心あたたまる縁と先見の明がありました。

「昭和50年代にけん玉ブームがあった頃、シェアのほとんどを占めていた産地が、じつは小田原なのです。その頃、父もけん玉ばかりつくっていました。家に残っていた当時のデッドストックをネットで紹介したところ、けん玉愛好家の団体から連絡があり、いま海外でけん玉が非常に流行っているとのことで一緒に商品開発を行うことになったのです」

2015年6月からは、寄木細工のけん玉〈山河(さんが)〉の販売を開始。メープル、ウォールナットを用いた市松模様(左)と、パープルハート、メープル、ウオールナット、モアビを用いたしましま模様(右)。夏にはFSC認証の国産広葉樹を使用した認証けん玉も製品化しました

はからずも父親と同じ玩具をつくることになった堀内さん。「父が生きていたら、海外でけん玉かよと驚くでしょうね」と楽しそうです。きっと寄木細工でけん玉をつくるという発想にも驚かれることでしょう。7月にけん玉発祥の地である広島県廿日市市で開催された『けん玉ワールドカップ2015』では、世界中から集まったけん玉プレイヤーが、堀内ウッドクラフトのけん玉の美しさに驚嘆。用意した販売数は、またたく間に売れてしまいました。

「驚いたのは、けん玉に私のサインを求められたことです。医療玩具もそうですが、ここ2〜3年で急激に日本の素材を活かした伝統工芸が海外の人々に認知され、実用品としてもアートとしても高い評価を受けていると感じます」

現在、予約販売分の制作に追われ、「さすがにもう、一人では無理かもしれない」とうれしい悲鳴の堀内さん。クリスマス商戦に向けて米国Amazonを通じて北米での発売が決まっており、今後ますます事業が拡大しそうです。

「いまは私のように一人の会社でもネットを利用して海外に口座をつくり、販路開拓できる時代ですが、やはりわからないことや不安なことはたくさんあります。Rin crossingには、より情報がしっかり伝わるような英語サイトのアドバイスや海外の販路開拓支援を期待しています」

堀内ウッドクラフト
(ホリウチウッドクラフト)

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