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創り手たちのStory

Home > 創り手たちのStory #052 北洋硝子 株式会社

#052 北洋硝子 株式会社:ガラス製品【青森】2016/09/30

津軽の職人の手で生み出した伝統工芸をライフシーンで求められる確かなブランドへ〈津軽びいどろ〉

色彩豊かなハンドメイドガラスで
日本の美しい四季を表現

真夏に開催されるねぶた祭りの熱も落ち着き、台風の影響で強風が吹きすさぶ初秋の青森で訪れたのは、「津軽びいどろ」の工場、北洋硝子株式会社。1949年に漁業用のガラス製浮玉の工場として創業し、その後「宙吹き」の技法を用いてハンドメイドガラスの創作を手掛けてきたガラス工場です。浮玉製造において国内トップクラスの生産高を誇るほどの技術力を生かし、日々技術開発を重ねながら、他にはない美しい色ガラスの調合をはじめ独自の技を磨き続けてきました。色とりどりのガラス製品が並ぶ工場1階のショールームを訪ねると、取材班を迎えてくださったのは、ガラス職人を含む総勢55名のスタッフを率いる代表取締役の宮内幸一さん。津軽びいどろのグラスで供されたアイスコーヒーをいただきながらお話を伺いました。

「100色以上もの色ガラスの調合を自社でやっている工場は他にはありません。だからこそ色彩豊かで自由な表現が可能になるのです」、と「津軽びいどろ」の魅力を語る代表取締役の宮内幸一氏

「約1200度の高温で溶けたガラスを吹き竿の先に巻き取って、職人が息を吹き込んで竿を回しながらさまざまな形をつくっていく津軽びいどろは、ハンドメイドならではの温かみのある表情が魅力です。現在は経験豊富な熟練の伝統工芸士を筆頭に若手職人も多くて、平均年齢は37歳と若いんですよ」と語る宮内さん。

変わりゆく時代のなかで絶版となった作品を、青森伝統工芸士である職人たちの手で蘇えらせた復刻シリーズ「七里長浜」。津軽びいどろのルーツである浜の砂を材料に使うことで古くからの自然な色合いを再現した

そもそものはじまりは、津軽半島の西側、日本海に面した七里長浜の砂を原料にガラスの浮玉をつくったこと。昭和40年代プラスチック製品の台頭によってガラス製の浮玉製造が冷え込み、それに代わって宙吹きの技法を生かしてつくられるようになったのがハンドメイドガラス「津軽びいどろ」です。

青森湾を囲んで向かい合う津軽半島と下北半島をシンボリックにビジュアライズしたブランドロゴマーク。青森を象徴する伝統工芸品としてのオリジナリティが表現されている

かつて浮玉に刻まれた北洋硝子の「北」のマークは、海を渡り流れ着いた西海岸で上下逆に読まれて「F」の字と誤認され、「ダブルF」と呼ばれ珍重されていた。そのエピソードから生まれた、業務用を中心とした洋モダンなシリーズのモダンなロゴマーク

百貨店を中心に高単価製品が人気のあったバブル期を経て、時代は食卓で使う身近な日常品としてのガラス製品が主流に。北洋硝子でも技術開発にかける職人のたゆまぬ努力によって、オリジナル色ガラスの調合や高度な技術を要する技など独自の技法を生み出してきました。自社工場内で100色以上もの色ガラスを組み合わせることで幾通りもの色彩表現が可能になり、移ろいゆく日本の四季をガラスに映し込んでいます。

東北三大夏祭りのひとつ「ねぶた祭り」の鮮やかさを8色の色ガラスに映しとって表現された、多彩なテーブルウエアシリーズ

自社ブランドとして立ち上げた「津軽びいどろ」ではありますが、その確かな品質と高度な職人技が評価されて青森県伝統工芸品として認定され、地場産業としての可能性も広げました。8年ほど前にはロゴも開発し、エンドユーザーへの認知度をより高めるべくブランディングにも本格的に力を注いでいます。

宙吹きの器から型吹きの量産品はもちろん、大ぶりな花器や置物など各職人の作家名によりつくられる作品まで、北洋硝子で手掛ける多種多彩なハンドメイドガラスを見て触れて購入することができるショールーム

熟練工芸士から若手職人へ
チーム体制で日々磨かれる伝統工芸の技

工場2階の製造現場へ足を踏み入れると、外の強風を忘れるほどの熱気と活気に包まれていました。いくつかの工程を複数の職人が担うチーム制で、真っ赤にゆらめくガラスを自在に操りながら、多くの職人の手で次々とガラス製品が生み出されていきます。完成品はフォルムや模様に微妙な違いはあるもののほぼ誤差のない仕上がり。手仕事とは思えないほどの正確な品質に、技術の高さを伺い知ることができました。

工場2階中央に据えられた大型の連帯炉を中心に、25人の職人たちが各々の工程に手際よく取り組む。動線が交差しながらも、作業に集中しつつテキパキとした熟練の動きが印象的

総勢55名の社員のうち職人が半数近くを占める。平均年令は37歳と若く、女性職人も増えている

「この工場にある溶解炉は日本最大級です。12組の坩堝(るつぼ)には常にガラスが溶けていて、24時間365日窯の火を落とすことはないんですよ」と宮内さん。全国各地からのオーダーに応えるべくフル稼働生産するも、現在では供給が間に合わないほどの需要があるといいます。

一瞬にして美しい花型の花器ができあがるのは熟練工芸士の成せる技。どれだけのキャリアを重ねても技の追求はとどまるところを知らず、いまなお腕を磨き続けているという

 
伝統工芸士として若手を束ねる篠原氏。真っ赤に燃えるガラスの形を濡れ新聞紙で整える作業は、軍手を使わず素手の感覚を大事にしながら行う

ここでガラス製造に従事する職人は全員青森県民であるのも特徴。青森県伝統工芸士に認定された職人3人を中心に、若手職人たちへと熟練の技が受け継がれています。一人前になるまで10年はかかるという職人の世界で、灼熱のガラスとひたむきに向き合う多くの眼差しが印象的でした。

暮らしとともにあるガラス製品を伝える
積極的なライフスタイル提案

情感豊かな津軽びいどろの魅力を身近に伝えるブランディングの一貫として同社が力を注ぐのが、一昨年リニューアルしたという公式サイトによる情報発信。グループの販売会社を通してB to Bという流通体制をとりながらも、実際に製品を使うエンドユーザーを意識した表現で、見る者を惹きつけています。

四季や月ごとのコラムなど、暮らしにフィットしたライフスタイル提案を充実させたホームページを2014年にリニューアル

 
 

編集の切り口も、実際の使用シーンを想起させるライフスタイル提案に特化。“日本の四季を感じるハンドメイドガラス”という同社のコンセプトが明確に伝わるよう、四季をテーマとした多彩なアイテムの紹介や、月々の歳時記をテーマにしたコラムとともにガラスの楽しみ方を提案するなど、“暮らしとともにあるガラス”というユーザー目線が貫かれています。

例えば、夏はねぶた祭りの荘厳な風景写真とともに、暮らしのシーンのなかにあるイメージ写真を紹介し、気持ちを高められるようなデザインや提案性を持たせている

ガラス表面のゆらめきや透明感をより引き立てる灯り、オイルランプとガラスのコラボ商品。キャンドルのように溶けた蝋が残らず、安定した美しいあかりを楽しめるインテリアとして人気

「今後Rin crossingに期待するのは、メーカー同士のご縁ですね。我々はグループの販売会社がありますので販路というよりも、新たな横のつながりによって未知の可能性を拓けるのではないか、と考えています。」と宮内さん。ものづくりへの情熱あふれる職人集団が目指すのは、日本一のハンドメイドガラス工場。40年以上愛されるロングセラーアイテムなど、昔から変わらない堅実な製品づくりをベースにしながらも、新たな付加価値を持つものづくりへ向けて日々進化し続けています。

また、数年前から様々なメーカーや飲食店からの注文品やクリエイターとのコラボレート商品など、オリジナル商品のオファーも耐えないといいます。色も形も自在に操れる手仕事の宙吹きガラスだからこそ、人々はそこに無限の可能性を感じ、インスピレーションを掻き立てるのかもしれません。色彩豊かな青森の豊かな自然を表現することに端を発しながらも、今後表現の可能性は日本各地や世界へ広がってゆくことでしょう。

北洋硝子 株式会社
(ホクヨウガラス カブシキガイシャ)

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