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創り手たちのStory

Home > 創り手たちのStory #054 合資会社 ロォーリング

#054 合資会社 ロォーリング:からくり®織【福岡】2016/11/25

人と人、そして地域を織り上げるからくり®織メーカーとして〈からくり®織〉

縫製工場として培った技術をもとに
地場産業創出を模索する

福岡県南部の筑後地方、ゆったり流れる筑後川のまわりに広がる田園風景を行くと、大きな織物の暖簾がかかる建物がありました。それが今回の取材先、ロォーリングのショールーム兼工場です。200年ほど前に生まれた久留米絣は、伊予絣、備後絣と並ぶ日本三大絣のひとつ。久留米市を中心に筑後地方で手掛けられてきた久留米絣は、藍染めによる濃紺と白のコントラストが美しい先染め糸による織物として知られています。ここ大刀洗町でも昭和40年代までは、藍の栽培から絣糸の染色、生地の機織りや縫製などを手掛ける工場が多数ありました。

筑後川ほとりに広がる田園風景の向こうに遠く耳納連山を望む、自然豊かな大刀洗町

「人と人の温もりにあふれた人生を歩む」をコンセプトに掲げる代表の實藤俊彦氏

「先染めの糸は丈夫で、しかも藍染めは耐久性があって虫や蛇も寄せつけない防虫性もあるので、久留米絣は衣類に最適なんですよ。祖母の代では、久留米絣の染めや織もしていたのですが、私の父の代では縫製を中心に手掛けていました」語ってくださったのは、同社代表の實藤俊彦さんです。

筑後地方特産の久留米絣の織り機

 

45年ほど前は藍の産地でもあった大刀洗では、原材料の栽培から染め、久留米絣の織まで行われていた

ロォーリングの前身となる縫製工場では、注文に応じて縫製を請け負う職人として、現代の暮らしに合ったさまざまなアイテムが手掛けられていました。「もともと着物や農作業用のもんぺに使われていた絣ですが、時代とともに激減しましてね。それでも20数年前までは、ネクタイやシャツなど衣料や小物なども展開していて、縫製の仕事も忙しかったんですよ。でも昔ながらのやり方だけでは限界が見えていましたから、このままでは地場産業がなくなってしまう、という危機感から新たに会社を設立して、次の一手となる独自の生地の開発に乗り出しました。それが21年ほど前のことです」と当時を振り返ります。

絣の技術と経験を生かして
オリジナルテキスタイルを開発

平成7年にロォーリングを立ち上げた實藤さんがはじめに挑んだのが、まったく新しくオリジナリティのある商品開発です。久留米絣の特性を生かして研究を重ね、3年の年月をかけて完成したのがオリジナルテキスタイルの「からくり®織」でした。

絣の原理を応用した先染めの極細木綿の糸を、職人の手で撚り合わせて独自の糸を開発

 

撚り合わせた糸は繊細なため、シャトル織機でなければ織ることができない

それは、絣のように先染めした織糸と単色の糸2本を撚り合わせた独自の糸を、さまざまな方式の機織りで織成したもの。これまでになかった技法によって、独特な風合いの個性的な柄のテキスタイルが生まれたのです。
「完成するまでには、絣糸の染め職人、糸を撚る職人、そしてその繊細な糸をシャトル織機で織り上げる織職人と、多くの熟練した職人たちよって、何度も試行錯誤を繰り返しました。ロォーリングという社名には、糸だけではなく、人と人、人と自然のあたたかなつながりを育むという意味も込められているんです」と實藤さん。多くの人の手によって、久留米絣とはまた異なる新たなテキスタイルの可能性が拓かれました。

シャトル織機で丁寧に織り上げられた生地は、すべてロォーリングオリジナル

生地柄の垂直がずれないよう、パターンは生地を重ねずに1枚ずつ着実に引いて裁断する。アイテムによっては生地を重ねて粗裁ちしてから縫製することも

空気を含むようふんわりと撚り合せられた極細木綿の糸で織られた繊細な生地だけに、裁断や縫製にも技術が求められます。そこには、長年縫製工場で培ってきた職人としての腕が十二分に発揮されました。やわらかくデリケートな「からくり®織」の生地は複数枚重ねて裁断することができません。絣糸による織柄の垂直ラインがずれないよう、一枚一枚パターンを引いて丁寧に裁断し、縫製も一つひとつ手作業で行われます。製品としていかに長く使っていただけるか、という品質へのこだわりは、熟練の職人であるからこそなし得る技です。以前と違うのは、請負の職人として縫製に専念していた状況ではなくなったこと。ロォーリングは、生地の企画開発から商品のデザイン、そしてオリジナルアイテムの縫製まで一貫してつくり出すメーカーとして生まれ変わりました。

5人の職人によって1点1点手作業で丁寧に縫製される。複雑な構造のアイテムも多いため、熟練の技を要する

熟練の技と自由な発想で
伝統を新たに生み出す

 

三葉仕立ての「ルターセ®ポンチョ」は、ポンチョとして羽織ったり、ストールとして巻いたり結んだりと多彩なスタイルを楽しめるアイデア商品

「からくり®織」の生地はその後18年をかけて、さまざまに工夫が加えられ、「KARAKURI® Ⅴ」に至るまで5種のバリエーションが生まれました。また生地の特性を生かしたオリジナルアイテムも、シャツやパンツといった基本アイテムから、家庭で洗えるハンチングキャップ、三葉仕立てのマフラーやポンチョといったこれまでにないアイデアあふれるユニークなアイテムまでバリエーションも豊富です。独創的な商品は実用新案を取得し、話題を呼んでいます。

特殊な織り糸によるオリジナル生地「からくり®織」ブランド独自のマーク

先染めの「からくり®織」は色落ちしにくくハウスクリーニング可能。洗うほどに風合いが増すハンチングはバリエーションも豊富

大刀洗役場の職員にも好評なからくり織のシャツ。着用感などをヒアリングしながら、さらに進化した新商品を開発

 

縫製工場の1階はショールーム兼店舗。TV出演の効果も大きく、旅行の途中で直接来店する顧客も多い。北海道や香港からなど遠方からのお客様も

5年ほど前からビッグサイトでの展示会への出展など、ブランドの認知度をアップする取り組みにも積極的。パブリシティやTV出演など、メイドイン筑後の新たな先染織物として、「からくり®織」の価値を伝える努力を惜しみません。その結果、遠方からロォーリングを目指して足を運んでくれるお客様や、直接注文が入ることも増えたといいます。

「Rin crossingの登録バイヤー限定商談会や展示会などでお披露目したときに、異業種の方やデザイナーさんから客観的な意見をいただけるのは貴重な機会ですね。今後も地場のつくり手とチームを組んで、さまざまな場に出展していきたいと考えていますし、Rin crossingプロデュースで地方の百貨店へ出店というお話などにも大変興味があります」と意気込みをみせます。

取材中、大刀洗役場の地域振興課スタッフが、「大刀洗町公認 たちあらい応援大使」に認定された實藤さんへ、認定状とできたての名刺を届けに訪問

今後5年くらいをかけてブランドをしっかり確立し、若い世代も大刀洗で働きたいと思えるような地場産業として根かせたいとビジョンを描く實藤さん。
「からくり®織」だけでなく、行政とも手を取り合って活性化を目指します。久留米絣から受け継がれた伝統工芸は大刀洗の地で進化を遂げ、筑後の豊かな自然のなかに新しい流れを生み出してゆくことでしょう。

合資会社 ロォーリング
(ゴウシガイシャ ロォーリング)

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