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創り手たちのStory

Home > 創り手たちのStory #064 株式会社マストロ・ジェッペット

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#064 株式会社マストロ・ジェッペット:木製玩具【福島】2017/08/25

子どもが安全に木と触れ合い、遊びながら育っていくお手伝い 「南会津」から発信する木工玩具


コミュニケーションが自然と生まれる。
熟練職人が繰り出す、愛されるおもちゃとは

福島県の南西部に位置し、山々に囲まれた自然豊かな場所、福島県南会津郡南会津町。本州にある郡としては最も面積が広いこの地域は、約93%が森林ということもあって、従来より林業と木工が盛んです。また、この地域は伝統工芸品である会津漆器や、「あかべこ」「起き上がり小法師」の発祥の地としても有名で、昔から郷土玩具が作られてきました。そんな土地の職人とデザイナーが手を組み、2010年にマストロ・ジェッペットは創業しました。

みんなで壁を塗るなどDIYして作った事務所兼、展示室。要予約制

この建物は元々酒造組合の建物だったそう。そのときの名残として南会津を代表するお酒のラベルが並ぶ

全てが動き出したのは、2009年春にデザイナーの富永周平さんが縁あって南会津に来たことから。富永さんがのちに同社のメンバーになる武藤桂一さんや児山文彦さんらの加工場を見学したときに、思い描く木製玩具を作るためのほとんどの機材が揃っている工場を見て、「あぁ、これは面白くなるだろうな」という予感がしたといいます。また地元の木工所を営む家具職人の武藤さんも「作っているものは家具だったり、木製品だったりとみんな違うが、一緒に『南会津を発信するもの』を作りたいという気持ちはありました。ただ僕たちの場合は、作ることはできるけれど、デザイン性がない。そこに富永さんが現れました」と、お互いに出会いを喜んだそうです。こうして同じ思いを持った6人で会社を立ち上げました。

お話を伺った、同社取締役の武藤桂一さんとデザイナーの富永周平さん。武藤さんは南会津の家具職人だ

では、どういうものを作ろうか、どんな玩具を作っていこうか、と日夜勉強会などを開いたりしていた中でまず決まったのは、「0-6歳に向けた木製玩具」を作ることでした。現在16個ある玩具の中でも一番最初につくったものは赤ちゃんに向けた「FIRST TOY」シリーズ。温かみがあって、質が良くて、安全性、デザイン性が高いものを作ることができれば、その後のおもちゃにつながっていくのではと考えたからです。

中央部分がくるくると回る、ハート形のおもちゃ、coccolo(コッコロ)。左上が模型で、右下が完成品。より優しく、肌触りが良く。安全な仕上がりに

一見覚えづらい、会社の名前、「Mastro Geppetto」とは、イタリアの『ピノキオの冒険』という本に出てくる、ピノキオを作った木工職人「ゼペットお爺さん」のこと。Mastro(マストロ)はマイスター・親方・職人という意味だそうです。木製玩具がすぐ連想できる名前で、かつ、ものづくりの人がたくさん集まって立ち上げた会社ということもあり、あえてピノキオではなく、作り手に注目して欲しいとこの名前をつけました。さらに、「名前が長いので、逆にわかりにくい名前の方が、記憶に残るのではと思って」と笑顔で話す富永さん。

会社の名前の由来にもなっているピノキオがお出迎え

南会津の郷土玩具「あかべこ」と並ぶ、ピノキオの人形。南会津から生まれる玩具の広がりを感じさせる

旅行に行ったときに、お父さんはデジカメ持って、息子はこれ持って…。お父さんやお母さんの横で、一緒に車の運転ができる…。そんな、子どもが親と同じものを持ちたがる気持ちに応えた玩具、「GO TOGETHER」シリーズも人気です。コンセプトはまさに、「一緒に連れて行こう」というもの。玩具は一人で遊ぶだけではなく、コミュニケーションが生まれるツールに、という思いが込められています。

子どもが「僕も運転したい!」と運転席に座ることをせがんだ事はありませんか? そんな夢を叶えてくれる、木のハンドル:guido(グイード)

「おばあちゃん、こっち向いて!」など、コミュニケーションが生まれる木のカメラ:ciack!(チャック)

「MUSIC&ART」シリーズ、grillo(グリッロ)。付属の本(楽譜)で、ただ音を出すだけでなく自然と音楽を勉強できるようにしている

一番の売れ筋商品、noe(ノエ)。お風呂で遊べる玩具として人気


安心安全であることが大前提。
徹底した安全へのこだわり

一つ一つナンバリングをした同じ木から切り出した木同士を必ず繋げる徹底ぶり

右下のCEマーク「ヨーロッパの玩具安全基準 EN-71」は安全の証明

玩具を作るときは、「誤飲の危険性を第一に考える」という徹底ぶり。「木は湿度や温度によって反ったり縮んだりしてしまうので、別々の木を使うと接着面が剥がれる危険性があります。必ず同じ木から切り出したものを接着することで剥がれにくくなるのです」と武藤さん。最大限リスクを減らせるように、熟練の技を使いながら、細部にまでこだわっています。

「FIRST TOY」シリーズのラトル:picchio(ピッキオ)の部品。一つの角材から削り出されているため、誤飲の心配がない

garage(ガレージ)の屋根部分にはこの溝があるのでしっかりとはまり、壊れない。熟練の技術が光る

玩具作りには丈夫な広葉樹が向いていることもあり、現在は南会津産にこだわらず、適材適所から木材を調達しています。「できることなら会津の材木を使いたい。ですが、南会津はスギやヒノキの針葉樹が多く、広葉樹も出るものの、いつ、何が出てくるかなどがまちまち。安定的な供給ができれば、南会津の木を中心に使っていきたいです」と富永さん。

武藤さんの木工場、金中林産の工場内。取材時は、guido(グイード)が作られていた

板を、四隅に釘が付いている土台にしっかりとセットし、機械によって削り出し

機械任せではなく、きちんと削れるように勢いよく風を当て、木くずを飛ばす

一ミリ程度残して削り出しを行い、最後に研磨をする。1日に100個くらい作るそう

同社取締役、児山文彦さんの営む児山製作所。主に会津漆器、仏具を作っており、木製品はなんでも作るとのこと

研磨する際、なめらかな曲面を出すのが難しい。狭いところは手作業で磨く。赤ちゃんが使うので、より丁寧に

研磨は全部で3回。これは荒いペーパーで研磨した一回目の様子。随分と滑らかになっている

型抜きが終わったnoe(ノエ)の動物の顔をレーザーで焼いて絵付けする


少しずつ浸透していく、新しい広がりと
マストロ・ジェッペットのこれから

地域発信のブランドを作っていこうと商品を作り続ける中で、ふくしま産業賞やグッドデザイン賞を受賞したこともあって、地元の方や多くの人に知ってもらう機会が増えてきています。その一つとして南会津町で子どもが生まれ、役場で出生届を提出した際、出産祝いの品として、南会津産のヒノキを使って作ったnoe(ノエ)が贈られています(「森からの贈り物」事業)。最近では中学校の教科書の中にも、「CUBICOLO」シリーズがイメージとして使われています。

中学校の教科書に積木の玩具「CUBICOLO」シリーズのイメージが採用された

また、新たな挑戦として、2016年に、オーガニック素材を主原料にした新素材BIOプラスチックのテーブルウェア「PAPPA」シリーズをスタートしました。家具から出てくる端材や、さらに工場で出てくる、いわゆるもっと使えない端材を製品にできないかという思いから生まれたシリーズです。「今までマストロ・ジェッペットは、子どもの3欲(遊ぶ、寝る、食べる)のうち『遊ぶ』に応えてきたので、今度は『食べる』部分で何か提案できれば」と富永さん。マストロ・ジェッペットの環境に対する思いや探究心は尽きません。

2016年のグッドデザイン賞を受賞した、新素材BIOプラスチックのテーブルウェアシリーズPAPPA(パッパ)

マストロ・ジェッペットは、2013年からRin crossingに参加し、また2014年以降、様々な展示会にも出展しています。2017年は、9月の「NIPPON QUALITY in ギフト・ショー秋2017」に出展し『遊ぶ』の方の最新アイテムをリリース予定です。また、香港、バンコク、パリ等のイベントや展示会にも積極的に参加しています。
「多くの取り組みや展示会に参加することにより、おもちゃの枠を超えて、多方面で様々なジャンルの人たちと繋がることができた」と武藤さんは言います。

9月の「NIPPON QUALITY in ギフト・ショー秋2017」に出す予定の、noe(ノエ)の最新作、十二支バージョン「Zwolf(ツヴェルフ)」

創業して7年目。「何よりも人の繋がりができていくことが嬉しい」と語る武藤さんと富永さん。「木」を扱うプロフィッショナルが集まっているので、みんなで話せば解決できることばかり。全員の経験値を活かして愛される木工玩具を、一つ一つ愛情をこめてつくっているマストロ・ジェッペットのものづくりを見て、これからを生きる子どもたちの未来は、熱い大人たちの手の中から生まれているのだと感じました。

大人の手にすっぽりと収まるサイズ。優しい職人の手から生まれている

株式会社 マストロ・ジェッペット
(カブシキガイシャ マストロ・ジェッペット)

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