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創り手たちのStory

Home > 創り手たちのStory #065 株式会社 織田幸銅器

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#065 株式会社 織田幸銅器:高岡銅器【富山】2017/09/29

 400年の伝統を、現代にあった暮らしの道具に。織田幸銅器が「RED & WHITE」に込めた想い


高岡の城下町で脈々と受け継がれる
「銅鋳物」を現代に伝える

かつては城下町として栄えた富山県北西部の街・高岡市。歴史の情緒を感じさせる古い街並の軒先には、涼しげな音を立てる銅製の風鈴が吊り下げられています。そう、ここは銅器の街。市内には多くの工場があり、現在も日本における銅器の約95%を製造しています。

「金屋町」と呼ばれ、かつては金物職人の工房が立ち並んでいた通り。現在も銅器などを扱う店が多く集まる

日本三大大仏の一つとされる「高岡大仏」。元は木造だったが二度の焼失を経て、1933年に銅造により再建された

高岡銅器の起こりは400年前。加賀藩主の前田利家が入城し、地元の特産品を作るべく現在の金屋町に七人の鋳物師たちを呼び寄せました。当初は「鉄鋳物」が主流でしたが、18世紀後半には梵鐘や火鉢などの「銅鋳物」の生産がスタート。やがて、高岡は銅器の一大産地となり、高岡で作られた仏具や銅像は全国へと運ばれました。織田幸銅器が高岡で創業したのは1925年。銅器の卸業として先代の織田幸作氏が会社を興し、現在は3代目となる幸治氏が代表を務めています。

古くから仏具の一つとして使用されてきた香炉。織田幸銅器では現在もさまざまなデザインの香炉を手がけている

干支の人形も人気が高い。来年の戌年に向け、銀や銅を用いた戌の像の製造がピークを迎えていた

当初は香炉や花瓶など、伝統工芸品が主力商品だった織田幸銅器。しかし、時代とともに、日本人の暮らしは洋風に変化。次第に、現代の暮らしに合った、若い人にも目を向けてもらえるような商品を作りたいと考えるようになります。そんなとき、富山県からとあるデザイナーを紹介されます。それが、「富士山グラス」や「THE」などの人気商品を手がける鈴木啓太さんでした。彼との出会いをきっかけに、オリジナルブランドである「RED & WHITE」シリーズが生まれることとなります。

「RED & WHITE」の最初のプロダクトである「モスコミュールカップ」。銅の表面を叩いた繊細な模様を活かした「槌目」(左)と、「マット」(右)の2種類


人気デザイナーと共につくった
「縁起物」がコンセプトの銅器

鈴木啓太さんとともにつくり上げた「RED & WHITE」の名前には、「紅白」の意味が。しかし、縁起物というコンセプトは後から生まれたものだと織田幸銅器の大江さんは言います。「最初に、純銅のカップ『モスコミュールカップ』をつくったんです。外側が銅の赤色。内側は錫でコーティングして、白色になりました。紅白の色づかいで、カップの形も逆さにすると末広がりに見える。これは縁起がいいぞということで、『RED & WHITE』と名付けられたんです」。

銅の持つ抗菌・殺菌作用で切り花が長もちするというフラワーベース。表面に錆止めの処理をしていないため、経年変化とともに表情の変化が楽しめる

高岡銅器は伝統的に、分業制でつくられます。原型士や木型士、鋳物士など、工程ごとに細かく分けられ、異なる工場が担当。問屋としてスタートした織田幸銅器は、それらをとりまとめる問屋と工場の間に立つような存在です。自社工場はありませんが、逆に、作りたいものに一番合った工場を工程ごとに選び、発注できるという強みがあります。「高岡は鋳造は得意なんですが、板物(板状の銅からの加工)は苦手。最初はすべて高岡で作りたいとも考えていたのですが、商品のクオリティを優先することに。モスコミュールカップやアイスコーヒーカップは、板物加工に優れた新潟の燕三条に加工をお願いすることにしました」と、大江さん。

左が織田幸銅器で営業を担当する大江清隆さん。右は高岡の銅器メーカー「能作」の新夛謙三さん

高温で金属を溶かし、型に流し込む現場。能作では一般客でも製造現場を見学することができる

型に流し込み、冷やし固めた金属を砂の中から取り出す

砂から取り出した金属は何回にもわたって磨きをかけ、輝きを生み出していく

「能作」は、織田幸銅器と同じ高岡で1916年に創業し、同じくRin crossingに参加しています。能作が得意とする「鋳造」とは、鋳型用の砂に少量の水分と粘土を混ぜ、押しかためて成型する方法です。金型をつくる方法に比べ、製作スピードやコスト面で優れ、小ロットでの生産に適しています。古くからものづくりを共にしてきた織田幸銅器と能作。能作の販売部・新夛謙三さんは「能作で扱う素材は銅を中心に、錫や真鍮など。織田幸銅器さんは他の素材を扱う職人さんもよく知っているので、両社はそれぞれ得意分野が違うという感じですね」と話します。こうした工場との密な関係性から、織田幸銅器のプロダクトはつくられています。

能作が発注を受けた製品の木型が保管されている。色が異なるのは、木型士によって違う色をつけているからだそう

「RED & WHITE」のアイスコーヒーカップ。銅は熱伝導率がよく、冷たい飲み物を注ぐとすぐにカップ全体が冷え、冷たさが持続する


分業制を活かして
最良のものづくりを

新商品を作る際には、商品の仕様に合わせて全国の産地から工場を探すという織田幸銅器。「産地にこだわるよりも、お客様に『すごい』と言っていただける商品を作る方が重要だと思うんです」と、大江さん。長年培ってきた職人や工場とのつながりは財産だといいます。「依頼を受けたら、この加工なら〇〇さんだね、という話から始まります。つくり手の高齢化も進んでいますが、若くして職人を志す人も増えています。最近では、フィギュアの原型師の人が銅像の原型を手がけるケースも。うちでもそうした若い原型師さんと組んで蔵王権現像をつくったりと、新しい挑戦も行なっていますよ」

うがいや歯磨きなどにちょうどよいサイズの「デイリーカップ」。ハンドルのカーブは、S字フックなどでぶら下げやすいように計算されている

紅白の「ぐい飲み」。右は熱伝導率の高い錫製で、よく冷えた冷酒に。左は拭き漆を重ねた木製で、金属に比べ熱を伝えにくいため燗酒におすすめ

現在の「RED & WHITE」シリーズは、カップを中心にフラワーベースやアロマキャンドルなど、7種類のラインナップが。夏場になるとアイスコーヒーカップの生産が追いつかないなど、順調に人気を延ばしています。大江さんは「モスコミュールカップを発売したばかりの頃、ギフトショーのRin crossingブースに並べていただいて。かなり反響がありました。Rin crossingのHPを見ての問い合わせもあり、広がりが生まれています」と話します。

フラワーベースと同じく、銅の抗菌・殺菌作用を活かしたフラワーキーパー。花瓶の中に入れておくことで、花や植物が長持ちする

モスコミュールカップが「COOL JAPAN AWARD 2015」を受賞し、海外からの注目も集まる「RED & WHITE」シリーズ。見た目の美しさだけでなく、機能面でも優れた銅の素晴らしさを、もっと広く知ってほしい。そんな想いを込め、400年の伝統を活かした暮らしの銅器を、これからも織田幸銅器はつくり続けていきます。

株式会社 織田幸銅器
(カブシキガイシャ オダコウドウキ)

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