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「別府竹細工」に魅せられた竹職人の挑戦 有限会社 竹工房オンセ(大分)

2018/1/25


職人は経営者でもある
「別府竹細工」の伝統を残すという覚悟

別府市にほど近い山間の小さな集落に居を構える有限会社竹工房オンセでは、「別府竹細工」の技法を活かし、美しくしなやかな竹工芸品を製作しています。創業者の高江雅人さんは、29歳でそれまで勤めていた外食産業の会社を辞め、この地に移住。自給自足の生活に憧れ、自らの手で住む家を作るところから始めたそう。

自宅のログハウス。社屋、竹の保管倉庫などはすべて手作り

倉庫には加工前の竹がずらっと並ぶ

工房の様子。この場所から日々、新たな作品が生まれている

最初は有機農法の農業を営む予定が一転、副業として始めた竹細工の面白さに魅了されます。別府高等職業訓練校の竹工芸科に通い、卒業作品が全国職業訓練展で労働大臣賞を受賞したことで、竹職人としての道を歩むことに。「サラリーマン時代、自分がやっている仕事は「部分」でしかなかった。しかし、竹細工はすべて自分の責任でできる。そこに面白さを感じました。そして何より、ものづくりが楽しかった」と高江さん。

代表の高江雅人さんは別府竹細工の「伝統工芸士」

当時はバブルで景気が良く、竹細工がたくさん売れた時代。新人でも仕事には困らず、高江さんは学校を卒業して4年後の1993年に独立、竹工房オンセを開きました。この頃の「別府竹細工」の職人の元には、全国の百貨店や専門店、小売店などにカタログで商品を売り込む問屋からの発注が絶えませんでした。

商品は工房の2階に吊るして保管。湿気を防ぐための工夫でもある

しかし、高江さんは徐々に職人の仕事のやり方に疑問を感じるように。「職人は生産者価格で仕事をしていて、商品の売価を知らなかった。でも、商品とは他の商品と比較されて買われるもの。そこで自分が作っている商品の売価を調べ、うちは2割増しの商品を作ろうと決めました。それこそが、この業界で生き残っていく方法だと」。
10000円の価値の花籠と12000円の価値の花籠を並べて同じ値段で売ると、明らかに12000円の価値の方が売れるといいます。8割の人にはその違いが伝わるそう。実際に、そうした思いで製作された高江さんの商品は売れるように。「あそこの商品は売れる」。そんな評判はあっという間に広まり、竹工房オンセには注文が集中するようになりました。

隙間から漏れる光が美しい、竹細工の照明カバー

バブル崩壊後は問屋からの発注が激減。業界全体が苦境に立たされる中、高江さんは自ら販路も開拓していきました。百貨店の展示会や工芸品を扱うギャラリーに足を運び、商品を置いてもらえるよう直接交渉。すると、オープンしたばかりの某百貨店から、次の展示会に出展してほしいと依頼が来ます。それが成功して以来、全国の百貨店のバイヤーから依頼が相次ぐように。竹工房オンセの商品は、今では全国のギャラリーや小売店にも並ぶようになりました。
「あの時、動いていなかったら、今ごろ潰れていたと思います。昔は、職人は職人仕事だけをしていれば良かった。でも今は、自分で売らないといけない世の中。職人は経営者でもあるんです。時代に合わせた生き残り方は大事」と語る高江さんに、新しい時代の職人のあるべき姿を見た気がします。


確かな技術と責任
長く愛されるには理由がある

竹工房オンセでは分業はせず、高江さんを含めた8人の職人が最後まで責任を持って、一つ一つ商品を手づくりしています。「商品には絶対の自信がある」という高江さん。高い品質を保つ秘訣は、三段階の検品作業にあります。まずは職人自らが検品し、納得のいく商品だけを提出。次に社長が検品し、全体的なフォルムや色をチェック。最後には、検品担当者がお客様視点で使い勝手を確かめる、厳しいチェックが待っています。こうした工程があるからこそ、竹工房オンセの商品は多くの百貨店や小売店からの支持を集め続けてきました。

事務所内の様子。ここで検品作業や縫製、梱包、発送作業などが行われている

機械を使って竹ヒゴを整形する

若い職人さんが高江さんのもとで技術を磨く

工房を代表する商品は「網代編みの竹バッグ」。厚さ0.3ミリほどの竹ヒゴを1本1本、丹念に編み込んで作られます。編み目が織りなす優雅な曲線は、どこか波のよう。美しく気品があり、しかも軽くて丈夫な竹バッグは、多くの女性に愛されています。

網代編みの竹バッグ。緻密な編み目が美しい

漆塗りの工程も工房内で行っている

自宅が火事に遭ったお客様から、焼け焦げてしまったバッグの修理を相談されたことも。この女性は、自宅が焼けたことよりも、バッグが使えなくなってしまったことを悲しまれていたそうです。「作ったものに最後まで責任を持ちたい」との思いから、竹工房オンセでは購入後5年間の品質保証をしています。たとえお客様の過失による破損であっても、無償で修理対応。商品に対する責任と誇り、使い手への思いやりがうかがえます。

乱れ編みの竹バッグ。若い人にも普段使いのバッグとして、気軽に使ってほしいとの思いから作られた


「竹職人」としてのこだわり
時代に求められる商品を作り続けるために

竹工芸は、大きく3つの分野に分類されます。主にザルや籠などの生活用品を青竹で作る「青物師」、オブジェや高級な美術工芸品をつくる「竹工芸家」。そして、伝統的な工芸品を作る「竹職人」。「竹職人」を32年間続けてきた高江さんは「自分は作家ではなく、竹職人。手を動かすことだけが自分の命綱だと思っています。1000円の籠を1000個作れと言われれば作るし、100万円の籠を作れと言われればそれを作る。目の前のものに対して一つ一つ集中して、真摯に取り組むことが大事なんです」と語ります。

400年前から作られているという竹籠「四海波」

16本の竹ヒゴを四つ目編みにしていく

その場で実演していただき、わずか10分で「四海波」が完成した。数を作るにはスピードが必要だ

「自分たちの仕事は、作家のように時間をかけて一つの作品を作るのではなく、お客様の予算や納期の要望に合わせて、ある程度の数を作る仕事。そのためには、いかに手を動かして技術の維持ができるかが大事です。毎日数を作れる環境、切磋琢磨できる環境が職人を育てるんです。そして、そのためには、市場の評価を得られるものを作らないといけない。自己満足ではなく、絶えず売れる商品を考えています」と高江さん。

この「針山」は、「四海波」にクッションを入れたもの

竹工房オンセは、アパレルブランドとコラボレーションをしたり、銀座の新名所「GINZA SIX」に製品を展開したりするなど、これまで竹工芸品に接する機会のなかった若者層に向けてもアプローチ。既存のやり方にとらわれず、様々な販路を開拓しています。
伝統工芸を継承していくためには、お客様に求められるものを作り続ける必要がある。職人と経営者の視点を併せ持った高江さんのもとで、これからも今の時代に受け入れられる魅力的な商品が生まれていくことでしょう。

同じ商品でも、切り取り方次第で全く別のものに変わる

有限会社 竹工房オンセ
(ユウゲンガイシャ タケコウボウオンセ)

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