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2018年6月現在

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職人の手技が生む精度と、意匠性への挑戦
日本の風土に適した伝統的なブリキ缶づくり 株式会社 江東堂高橋製作所(東京)

2018/6/29


湿気の高い日本の風土が生んだ茶缶
その気密性の高い構造が中身を大切に守る

「ほら、中を見てください。錆びてないでしょう? この缶が作られたのは昭和初期頃だと思います。ブリキは金属ですから保存状態によっては錆びてしまいますが、上手に保管するといつまでもこんなにキレイな状態で保つことができるんです。不思議なことに使っているほど錆びないんですよ」とブリキ缶の魅力を語るのは、江東堂高橋製作所で長年ブリキ缶の企画・販売をプロデュースしてきた朝倉みどりさんです。


 

昭和初期につくられた昔ながらの製法による茶缶。外装は漆塗りに蒔絵を施した蒔絵職人による仕上げ

同社がブリキ缶づくりを始めたのは明治43年頃。当時の日本では外国から入ってきた缶詰食品の気密性の高さに目を付けて、ブリキ製の茶缶がつくられるようになっていました。東京都墨田区周辺にはお茶や海苔用の缶をはじめブリキ製品の工場が多数集まり、活気づいていたといいます。
「ブリキ缶の良さはその気密性の高さにあります。茶葉や海苔など湿気に弱いデリケートな食品を保存するのに最適だったのでしょう。湿気の多い日本の風土だからこそ生まれた知恵ですね。私どものお客様の海苔メーカーさんから、『江東堂さんの缶に海苔を入れていたら1年経っても湿気てなかった』と言われるほど気密性が高いんですよ」
現在製造されているブリキ缶は、茶葉や海苔にとどまらず、パスタや小麦粉、スパイスなど乾燥食品の保存、またギフト用パッケージとして、その用途は現代の生活に合わせて広がってきました。珍しいものでは、缶の遮臭性や衝撃吸収性を活かして薬品を輸出する際の保護容器として使われるといったケースもありました。
また外装は、ベースとなる生地缶にさまざまな素材を貼り付けることができるためバリエーションは多岐にわたります。和紙和染缶や塗装缶、桜皮缶、彫刻缶など、曲面に貼り付けることができる素材の数だけ、その意匠の可能性は広がるのです。最近若者に人気なのは、シンプルな生地缶なのだとか。また数年前にはドイツやアメリカなど海外の展示会にも積極的に出展し、海外からの引き合いが増えると同時に、来場していた日本の商社とも商談が成立したといいます。


 

「日本の若者の間では生地缶が、そしてドイツでは印伝柄の和染缶が人気です」と語る朝倉さん


限りなく真空に近づくような
精度の高さを生む、職人の経験と勘

ブリキ缶の気密性の高さを物語るのは、胴体と中蓋、そして外蓋が“ジャストフィットする缶合”といわれる最適なバランス。その品質基準は、「胴体に、蓋を一定の力で置くと、その重みですぅーっと自然に閉まっていき、逆さにしても落ちてこない状態」。この精密さは長年の経験を有する熟練職人の勘なくしては、成し得ない技なのだといいます。

■蓋が自然と閉まる様子はこちら


 

胴体に中蓋や外蓋を置くと、その重みで自ずと閉まっていく。高気密な構造で缶の中身を守る

「製造工程の一部はオートメーション化されて、手仕事だけでは不可能な安全面に配慮した缶をつくることができるようになりました。昔ながらの手法では胴体と蓋の端が切りっ放しだったのですが、現在は缶の端でケガをすることがないよう内側に折り曲げてかしめています。それでいて胴体と外蓋の境目に段差がなくフラットな形状にして、和紙の柄もぴたりと合わせたデザイン性の高い製品として一缶一缶仕上げています。機械化されたとはいえ、ほとんどの工程を人の手仕事によって今も丁寧につくり続けているんですよ」
全てがオートメーション化された大量生産品の缶は、缶の端を外側にカールする加工にせざるを得ないため、胴体と外蓋の境目に段差ができてしまいます。江東堂高橋製作所が手掛ける缶のフラットな形状こそ、手仕事の証なのです。

 

ブリキの板は缶の形状に合わせて裁断され、電気溶接で製缶する。胴体をプレス機で膨らませることで外蓋を受ける部分にコンマ数ミリの段差をつけている

中蓋のつまみをかしめるプレス機は“蹴とばし”といわれる足の力加減で圧力をかけるアナログな構造

 

胴体と中蓋、外蓋を合わせる“缶合”の工程

 

塗装の工程も職人の経験と勘による手作業で行われる。右は長年使い続けている蒸着炉

和紙を貼るのも手作業。曲面に貼り付けることができる素材の数だけバリエーションは無限に広がる

外蓋と胴体を一瞬で柄合わせできるよう、外蓋には小さな穴(ダボ)をプレスしてある

輸出する缶の底には、キャニスターの「C」をモチーフにした「KOTODO」ブランドのマークを刻印


積極的な展示会出展で次々と新製品を発表
伝統的なブリキ缶の魅力を伝え続ける

「販売先は、ほぼ100%が卸です。ですのでこれまでもギフト・ショーや雑貨EXPOなど展示会には積極的に参加してきました。ペットボトルやプラスチック容器の普及、大量生産品による価格競争の激化で、一時期はもう缶づくりを止めようかというところまで売上が落ち込んだんですよ。でも15年ほど前、そんな時期に参加した葛飾区の異業種交流会で、これまで引き合いのなかった異業種の方々に、手仕事のブリキ缶の魅力を認めてもらったんです。そこからは、とにかく多様なイベントに数多く出展して昔ながらの茶缶スタイルの良さを伝えてきました」と当時を振り返る朝倉さん。数年前からの海外進出の動きも、幾度なく訪れた危機を打破するための取り組みだったといいます。

 

2017年のNIPPON QUALITYで発表した新製品「祝缶」とおみくじ付きの「吉缶」。単なる保存容器という役割を越え、ギフトパッケージとしてその用途を広げた

また、展示会への出展に意欲的な理由はもう一つあると朝倉さんは言います。ブリキ缶はその形状はもちろん、外側に張り付ける素材や加工によって多様なスタイルや用途に展開することが可能な、いわば無限の可能性を秘めたベースとなる素材。あらゆる業界の多種多様な素材の創り手が多数出展している展示会は、まだ見ぬ素材と出合うチャンスの場なのだとか。
「実際、今年発表するアコヤ貝のシートを施した新製品も、弊社の社長が展示会の場で出合ったメーカーとともに、3年をかけて製品化したものなんですよ。今年はRin crossingにも登録いただきました。“NIPPON QUALITY in ギフト・ショー秋2018”に出展する際は、ぜひ会場で “Rin crossing”の赤いマークを掲げて、ブリキ缶の魅力をもっともっと皆さんに知っていただきたいですね」

NIPPON QUALITY in ギフト・ショー秋2018での発表を目指す新製品。天然のアコヤ貝のシートを貼り付けている

Rin crossingの登録企業となってからの活動は、まだまだ始まったばかりですが、バイヤー経験豊富なアドバイザーからの、実践に基づいた辛口のアドバイスもとても勉強になったと朝倉さんは語ります。新たな製品開発はもちろん、販路開拓にも意欲的な江東堂高橋製作所の今後の展開にますます期待が高まります。


株式会社 江東堂高橋製作所
(カブシキガイシャ コウトウドウタカハシセイサクショ)

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