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2018年6月現在

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Home > 伝統工芸「高岡銅器」の技をベースに新たな商流を築く|株式会社 ナガエ(富山)【高岡銅器】

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伝統工芸「高岡銅器」の技をベースに
新たな商流を築く 株式会社 ナガエ(富山)【高岡銅器】

2018/8/24


金属製品開発で培ったノウハウを結集した
自社ブランドでインテリア業界へ進出

「もともと高岡の金属産業はいくつものコアな技術の合わせ技で成り立っています。原型師、鋳物師、研磨仕上げ職人、着色屋、箱屋と、それぞれの専門領域で熟練の技を持つ職人による分業制でものづくりを行ってきたんですよ。総合メーカーである私たちは、伝統的なものづくり技術と最先端の技術を融合させながら、さまざまなジャンルの金属製品開発を、企画段階から設計・製造、デリバーまでトータルで手がけてきました」。仏像や兜から、テーブルウエアやインテリアアイテム、美容用品に至るまで、多種多様な金属製品を見せてくださったのは、ナガエの代表取締役社長、長柄洋一さんです。

仏像など伝統的な宗教用具から、モダンなインテリアアイテムまで同社の金属製品は多岐にわたる

富山県高岡市は、加賀百万石の庇護のもと「高岡銅器」と呼ばれる美しい銅器の伝統工芸が生まれ、四百年の歴史を育んできた金属産業の町。同社は、その伝統技術を生かした美術工芸品や仏具などをつくるアート事業とダイカスト技術を軸とした工業製品を手がけるテクノ事業を2本柱に、多彩な金属製品を手がける総合メーカーです。

「企画提案から設計・製造までのトータル対応も、製造のみの技術提供も、求められるニーズによってフレキシブルな対応が可能です」と語る同社代表取締役社長の長柄洋一さん

 

テクノ事業では、物干金物など建築金物やガスメーターボックスなど工業部材を手がける

「仏教に深い関わりを持つ土地柄から、高岡では仏像仏具といった宗教用具や兜などの美術工芸品をはじめとする銅器が盛んに作られてきましたが、全国的に市場が縮小傾向にあるといわれる伝統工芸の流れと同様、高岡の銅器産業も厳しい状況にありました。そこでこれまでにない新たな商流を切り拓こうと、10数年前から伝統工芸の技をベースとする金属加工技術を生かして、新たなオリジナルブランドを開発するプロジェクトに取り組んできたんです」

こうして2009年に生まれたのが、現代の暮らしにフィットする新しいインテリア製品ブランド「naft」と、宗教用具や美術工芸品をより新たな形で提案する「銀雅堂」でした。

「まずは国内外のさまざまな展示会に出展しましたが、特に全く新しいジャンルであるnaftは軌道に乗るまでに大変苦労しました。当初は製品ラインナップも少ないながら、従来とは異なるテーブルウエアやインテリアの領域への進出を狙っていましたので、新たな販路を獲得するために試行錯誤の連続でしたね」

naftブランドはハイデザインなテーブルウェアや、ステーショナリー、その他インテリア・ライフスタイル雑貨などから開発をスタートした

 

銀雅堂は和モダンをテーマにした花器や酒器、兜や仏像など

「私たちの強みは、アート事業の緻密・美麗なものづくりの技術力と、テクノ事業の先端技術、そして工業製品として通用する徹底した品質管理にあります。工業製品は法的な規格があるものもあり品質管理面が厳しいですから、製品の衛生面や安全性、耐久性といった面でも安心して使うことができる品質を実現できるのです。こうした強みをプレゼンテーションしながら、百貨店や雑貨店など、従来にはなかった業界へと販路を広げてきました」。金属加工業界で長年培ってきた確かなものづくりというバックボーンがあったからこそ、新たな商流を生み出すことにつながったのです。


市場のニーズによって最適な製造体制で応える
総合メーカーの柔軟なものづくり

「金属製品は金型を起こして量産するため、製造ロットも大きいと思われがちですが幾つかの製法があって、少量生産にも大量生産にも柔軟な対応が可能なのです。その製造工程の一部をご覧いただきましょう」。広大な敷地内に並ぶいくつもの棟が並ぶ実際の製造の現場をアート事業部部長の久末佳生さんに案内してもらいました。

錫など融解温度が低く、製品サイズが小さなアイテムは、砂型によって手作業で作られる

熱気に満ちた工場内では大小さまざまなラインが組まれていました。

「例えばこの砂型ラインでは、小さなサイズの錫製のアイテムを一点一点手作業で作っています。私たちが用いる鋳物の代表的な製法として、量産向きの“ダイカスト”、少量でも対応可能な“砂型”、複雑な形状にも対応可能な“ロストワックス”と3つの製法があって、金属の種類も真鍮や銅から、錫や金、銀、亜鉛合金やアルミ合金に至るまでさまざま。求められるプロダクトの精密度や仕上げの質感、ロット、そして素材の特性によって相応しい製法で対応しています。工業製品の部材でも砂型で手作業で作るケースもあります」

■砂型を作る様子はこちら


工業部材の砂型は、職人の手作業によって原型に砂を流し込んで作られる

 

写真左:600〜700度で融解するアルミの炉/写真右:アルミ合金を砂型に流し込む作業も職人の手作業

同社の中でも最大のダイカストの成型機はその型締力(かたじめりょく)800トン

「もちろんものづくりの現場は、この工場以外にもたくさんあります。もともとが分業制ですから、鋳型の原型を作る原型師、鋳物師、磨きの研磨仕上げ職人や彩色を施す着色屋など、それぞれの専門技術や得意分野によって細かく分かれているんですよ。ナガエは昔からお客様のニーズに合わせて、ケースバイケースでさまざまな製造工程をトータルプロデュースしてきました。だからこそ、どんなニーズにも応えるものづくりの体制を柔軟に構築することができるのです」

例えば、型抜きはレーザーカットで、成形プロセスは鍛金職人による手作業といったインテリア製品もあれば、最新のプロダクトながら伝統的な着色方法で仕上げる仏像もあるといった具合に、多種多様なプロダクトはそれぞれに最新の技術と伝統的な職人技を掛け合わせて作られているといいます。

鉄製フラワーボウルは型抜きは機械で行い、鍛金は職人(伝統工芸士)の手で一点ずつ丁寧に行われる

アンティークな風合いの古美色シリーズは、高岡の伝統的な着色技法で職人が一点一点仕上げている

 

写真左:膨大な数に及ぶ鋳型の一部を保管する倉庫/写真右:アルミ合金の原料の塊、インゴット


伝統工芸の職人技×現代の緻密なものづくり技術を結集し
テーマ性のあるライフスタイル提案を

「近年では金属素材にこだわらず、さらに取り扱いアイテムは広がってきました。例えばこの坐禅用の“坐蒲”は金属が一切使われていません。“坐禅”という一つのコンテンツに対して、香立てや仏像など関連性のあるアイテムをトータルで提案するという新たな試みです。これから求められるのは、商品単体ではなくテーマ性のあるライフスタイル提案なのではないでしょうか。高岡には銅器以外にも多くの伝統工芸がありますし、必要があれば高岡以外の工芸や産業など協力会社と手を組んで製品化に取り組んでいます」

例えば兜一つをとっても金属製の本体はもとより、木製の土台や組紐などの装飾や屏風など構成部材が多岐にわたっているように、もともと同社には金属だけにこだわる文化はないのだとか。さまざまな可能性に対してフレキシブルな発想でトータルプロデュースする総合商社的な役割を担っているといえそうです。

 

坐禅の姿勢を落ち着ける用具「坐蒲」。香立てや仏像とともに銀雅堂ブランドのアイテムとして新開発

富山県のデザインコンペ受賞デザインをナガエが製品化した、naftのデスクトップうちわ「solano」

そして富山のデザインセンターと連携して、若手デザイナーによるデザインコンペ受賞作品を実際に製品化するというプロジェクトにも積極的に取り組みました。富山の魅力をデザインした富山もようのデスクトップうちわ「solano」や、自然の造形をモチーフにしたツボ押しリラクセーションツール「collinette」がそれに当たります。試行錯誤を繰り返して世に出たプロダクトは高評価を得て、同社のヒット商品に成長しました。

また、2015年からはグループ企業「株式会社 NAGAE+」を設立し、東京に拠点を構えています。

「NAGAE+では、ブランディング強化と商品の情報発信に特化した組織を目指してこれまで以上にジャンルにとらわれることなく製品開発の可能性を広げようと考えています」という言葉通り、インテリアやファッションアイテムから、美容用品まで開発のフィールドは着々と広がってきているようです。

ボディマッサージの専門家監修のもと開発されたリラクセーションツール「collinette」

また、2017年には新規商流開拓の動きの一つとしてRin crossingに登録し、ギフトショー内のRin crossingブースへも出展しました。

「展示会に出展する狙いは、販路開拓ももちろんありますが、異業種の出展者との交流や情報交換など、ネットワークを築く意味でも大きな成果を感じています。また新たな製品のコラボレーションの話も持ち上がったりするんですよ」とRin crossingへ期待を寄せる海外事業部の辻谷恵さん。

「私たちは、もともと異業種の職人をプロデュースしてきたという経験値がありますから、ナガエというブランドをプラットホームに、地域や伝統にとらわれることなく、広域ジャンルでの連携を図っていきたいですね」と長柄社長もさらなる未来を語ります。

2017年には経済産業省の「地域未来牽引企業」にも認定され、地域で求められる同社の役割はより一層の広がりを見せています。昔ながらの伝統技術と最先端技術によって象られるナガエのビジョンには、無限の可能性が秘められているように感じられました。

平成29年には経済産業省より「地域未来牽引企業」として認定

 

株式会社 ナガエ
(カブシキガイシャ ナガエ)

ナガエの商品はこちらで購入できます


参考サイト:アート事業部「NAGAE+」ブランド

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