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創り手たちのStory

Home > 平安の時代から受け継がれる「京からかみ」の趣を今に伝え、次代を拓く|株式会社 丸二(京都)【京からかみ】

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平安の時代から受け継がれる
「京からかみ」の趣を今に伝え、次代を拓く 株式会社 丸二(京都)

2018/9/27


伝統文様×和紙の色×絵具の色
日本独自の美意識の集大成「京からかみ」

「日本の伝統的な文様をモチーフにした工芸は数多ありますが、そのなかでも京からかみの魅力は、何といっても手摺りならではのムラ感やかすれといった温かみのあるテクスチャーです。印刷では表現できない独特の風合いですね。一枚一枚微妙に異なる表情豊かな仕上がりは職人の手仕事の証です」。そう京からかみの魅力を語るのは、丸二の4代目代表取締役、西村和紀さんです。

古くから主に寺社・茶室の襖など内装材として使われてきた京からかみ

京からかみとは、中国の唐から伝わる木版手摺りの美術紙で、平安時代から京の町で育まれ、受け継がれてきた伝統工芸。同社では、古くは180年前から伝わる版木をはじめ約150柄の伝統文様が彫られた版木で、伝統的な手法を受け継ぎながら寺社・茶室、一般住宅の襖紙や壁紙を手掛けてきた製造・販売元です。

伝統文様と和紙の色、そして絵具の色の組み合わせは無限

「一つひとつの文様にはさまざまな意味合いや時代背景が含まれていてストーリーがあるんです」と語る同社代表取締役の西村和紀さん

「もう一つの大きな魅力は、版木に彫られた伝統文様と和紙の色、そして絵具の色によって思いのままに無限の組み合わせができること。難しくも面白みのある部分です。柄、紙、色と日本の伝統が掛け合わさった集大成とも言えます。そもそも伝統的な日本建築は、襖や欄間、畳、天井とさまざまな素材や装飾物が調和した空間です。なかでも京からかみは襖紙として柄がでしゃばらず、光の加減などで柄が浮き出るような奥ゆかしい素材です。鳥の子紙という淡い色の和紙に雲母(きら)や顔料を調合した絵具が基本的な組み合わせですが、現代ではお客様のご要望に合わせて、柄の存在感を表現できる濃色の和紙や絵具との組み合わせも作るようになってきました」

縦・横と合口を合わせて連続文様を摺り上げることができる版木セット「Karakami kit」

江戸時代には寺社仏閣や武家・上級貴族だけでなく一般の住居にも普及するようになった京からかみですが、明治以降からは印刷技術の発展に伴って、一時は十数軒あった版元も時代とともに衰退し、今では数えるほど。そして古くからの版木を各社から譲り受けて、昔ながらの手法を守りながら製造・販売を行ってきたのだといいます。

「寺社仏閣など文化財をはじめ京からかみの需要は減る一方でした。和室そのものが住宅から消えつつありますから……。一般の人はもとより設計士でも京からかみに馴染みのない人は多いでしょうね。そんなレアな内装材ですから、まずは知ってもらうことが重要だと考えました」

西村さんが4代目を引き継いだ10年ほど前から、同社内では京からかみに再び光を当てようとする動きが始まりました。一般の人が京からかみに直接見て触れることができるギャラリーを作ったり、認知度を上げるための新たなギフト商品開発に乗り出したのです。

商工会議所やプロダクトデザイナーなど外部ブレーンとともに、同社が受け継いできた京からかみの魅力を活かして開発されたのが、京からかみの顔ともいえる“版木”に着目した手摺り版木セット「Karakami kit」でした。こうしたギフト商品を手に、ギフトショーなど展示会に出展を重ね、その後順調に販路を広げます。そして全国のデパートの催事などで行った手摺りのデモンストレーションで一般ユーザーが京からかみに興味を抱き、京都のギャラリーへ足を運んでくれることも多いのだとか。文化財などのレアな内装材という認識から手の届く伝統工芸へ、少しずつ新たな流れが生まれています。


一枚一枚手摺りで仕上げられる
人肌と木肌による独特のぬくもりと味わい

新施設2階にある工房では、京からかみの伝統的な手法を受け継ぐ摺り師、工藤祐史さんが襖紙に伝統文様を手摺りするサラサラという音が響いていました。


 

丸二では約300ほどの版木を受け継いでいる。古いものでは江戸時代の銘が入った版木も

「一番古いものでは180年ほど前から使われている版木もあります。天然の木ですから磨耗や虫喰いで使えなくなることもあるんですよ。中には版が薄いものもあって、板を削って彫り直したのではないかと推測されています。丸二で受け継いでいる版木のうち今も使っているのは150ほど。いわゆるシンプルな日本の伝統文様のものもあれば、柄と柄を組み合わせた京からかみならではの柄まで、さまざまなデザインの版木があります」

 

版木は温度や湿度など天候によって数ミリ伸縮するため、毎回計ってその日の状態に合わせて割り付けの作業を行う

 

写真上左:布海苔に雲母(キラ)と顔料を調合して作った絵具。一度に摺り上げる分量を見本帖を見ながら毎回調合する/写真上右&下:「ふるい」と呼ばれる道具に刷毛で絵具を塗って版木に色を載せていく

畳一枚分よりも大きな紙をはらりと持ち上げて絵具を載せた版木の上に被せ、手のひらでサラサラと撫でるようにして摺る様子があまりにも軽やかで、「道具は使わないのですか?」と問うてみると、「バレンなどの道具を使うと表面が均一になってしまうんです。京からかみの魅力である何とも言えないムラッとした質感を出すためには手のひらが一番ですね」と手を休めず淡々と手摺りを行う工藤さん。


■襖紙を摺る様子はこちら


淡い色の烏の子紙に「梅鼠雲母(うめねずみきら)」色の絵具で摺られた京からかみ。手摺りならではの独特のムラが魅力

摺り上がった襖紙には版木の文様が写し込まれた絵具が乾き始め、独特のテクスチャーで淡く浮かび上がっていました。版木の木肌と手摺りの人肌による温かみのある京からかみ。一枚一枚、微妙に表情が異なる手仕事の妙に魅せられました。

「熟練の職人である師匠について、紙の割り付け作業から絵具の調合、手摺りの技術を学んで10年目に入りました。5年ほど経験を積めば売り物として出せるようにはなれますが、まだまだこれから。職人の世界にゴールはありませんね」

 

工房内には古くから受け継がれてきた手摺りの道具や材料が並ぶ

 

鳥の子紙に雲母や絵具を使って伝統的な京からかみの文様が摺られた見本帖


京からかみの伝統技術を進化させ
現代にフィットする日本文化の新たなカタチを発信

手摺り版木セット「Karakami kit」に続き、版木で文様を身近に使うことができる「Karakami Stamp」や、京からかみそのものをアレンジしたインテリアパネルやグリーティングカードなど、現代の暮らしに取り入れやすいギフト商材を次々と開発してきた同社。

京からかみを気軽に住まいに取り入れやすい「Karakami Panel」。文様・原紙・摺り色を自由に組み合わせてオリジナル製作可能

 

からかみの伝統的な文様を朴の木でスタンプにした「Karakami Stamp」

 

写真左:内装材としての「京からかみ」やギフト商品にふれることができる「Karakami Gallery」/写真右:新しくオープンした唐丸 2階では工房見学や小判摺り体験もできる

2017年夏、隣りに新しく開設した複合施設(唐丸)では、新工房の他にギフトショップや手摺りの体験ができるワークショップなども開催し、京からかみの魅力を広く伝える場づくりにも力を入れています。

2013年にはさらなる販路開拓を目指してRin crossingに登録。長年、京都の商工会議所でギフトショーにも参加してきた同社は、Rin crossingのような中小企業支援にも期待を寄せているといいます。

 

写真左:唐紙の木版手刷りの質感を身近に手にすることができるギフト商品の一つ、御朱印帳/写真右:京唐紙の伝統文様を特殊和紙に摺り上げたペンダントライト「KARA-IRO(唐彩)」


「版木の文様をレーザー加工で彫ることができる機械も導入しましたので、オリジナルの文様をコストを抑えてつくることも可能です。京からかみの魅力を一般に広く伝える活動を始めて7、8年が経ちました。徐々に京からかみへの認識が高まっているという実感がありながらも、伝統技術を確実に次代へ受け継ぐためにはまだまだ発展途上だと考えています。職人を育てるためにも需要を作っていくことは大きな課題ですね」と西村さん。

京からかみの版木が京都のリッツカールトンの内装材として採用された

3年ほど前、京都の新規ホテルプロジェクトでは、京からかみの版木を内装材として使いたいというオファーが舞い込みました。

「それまでにも、京からかみの伝統文様だけ切り離して提供してほしいという話はありましたが、頑なに断ってきました。文様を切り売りしてしまったら京からかみではなくなってしまう、お客様を混乱させてしまうのではと考えていたんです。でも完成したホテルの空間を見て少し考えが柔軟になりました。今でもどこで一線を引くかは慎重に考えていますが、コラボレーションすることで京からかみの本当の魅力をPRすることができれば、そしてお互いがプラスになるプロジェクトであれば積極的に携わっていきたいと思います」

その後も、ウイリアムモリスとコラボレーションした京からかみの内装材や、菓子店など商業施設のインテリアとしてなどさまざまなプロジェクトが舞い込み、京からかみに触れることのできる商業施設が増えてきているといいます。

そして数年前、新たな局面から丸二では全く新しい京からかみ「漆からかみ」を発表しました。
「初めにもお話ししましたが、京からかみの魅力は手摺りによる温かみです。変わりゆく空間やライフスタイルに合わせながらも、京からかみの基本を守りながら改良することも必要。絵具を手摺りしてから、日本古来の天然塗料・漆を吹き付けてつくる漆からかみはその取り組みの一つです。伝統技術を受け継ぎながら、広く伝えていくことが私たちの使命。今後も新たな表現で海外市場を狙っていきたいです」

伝統を守りつつ京からかみの新たな可能性にチャレンジし続ける丸二。京の職人魂で描き出される次代のビジョンにますます期待が高まります。

唐紙の伝統的な木版手摺りの手法に、日本古来の天然塗料・漆の新しい技法を融合させた新次元の素材「漆からかみ」

 

株式会社 丸二
(カブシキガイシャ マルニ)

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