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創り手たちのStory

Home > 創り手たちのStory #008 (株式会社網専)

#008 株式会社網専2013/01/22

黒子の役割だった金網を表舞台で輝く美しい“金属布”に

伝統の織機技術で編み上げる高品質の金網

河内木綿の発祥地として栄えた大阪・八尾市。1988年創業の株式会社網専は、地域に受け継がれた織機技術を活かし、蜘蛛の糸のような細く錆びにくいステンレス線を使った高精度・高品質のハイメッシュ(織金網)製造で知られる金網メーカーです。イヤホンのメッシュ部分をはじめ、家電部品や自動車部品、医療機器など多方面に、技術を駆使した製品を提供しています。

「いつも時代が求めている新しいメッシュをつくりたい。うちにしかできないことがやりたい。これが創業当時からの強い思いです」と少年のように目を輝かせた代表取締役の田中安夫さん。

「『なんとかしてもらえませんか』と言われると、三日三晩寝ないででもなんとかしたろと思う」という田中社長。企業のさまざまな要望に耳を傾け、実現してきました

田中社長は、金網が地場産業である大阪府松原市の出身。子どもの頃からオリンピック選手を夢見て陸上競技に青春を捧げ、実業団に所属しますが、膝の故障で断念せざるを得ませんでした。そのアスリート魂が次に向けられたのが、幼い頃から馴染みのあった「金網」でした。
「日本の金網は品質が良く、昔は海外輸出で潤いましたが、今ではその座を中国や台湾製品に奪われています。地元から金網の灯を消さないためにも、たゆまぬ技術向上や新製品の開発に力を入れてきました」

斬新な発想で、布地の風合いを持つ金網を開発

同社の転機となったのは、2008年のリーマンショックでした。それまで順調だった経営が、一気に年商75%ダウンというとんでもない危機に陥ったのです。

「もうアカンという同業者もいましたが、金網でもういっぺんなんとかしたかった。だって、この編み目を見てください。きれいでしょう? こんなに繊細なことは日本でしかできない。金網というのは黒子の存在で、なかなか表には出ません。でももっと金網が主役の商品があってもええんちゃうかと思ったんですね」

田中社長は八尾商工会議所のアドバイスを受けて経営革新計画を作成し、2010年に『おおさか地域創造ファンド』の助成金を獲得。以前から構想のあった、金網に樹脂フィルムを貼り、紙、布、皮などの素材を張り合わせた〈金属布ワイヤーネット・フィルム〉の開発に成功しました。

 

金属布は、バッグやペンケースなどこれまでにないジャンルに活用されています

 

0.03mm、0.06mmといった絹糸のように繊細な金属の糸を編み上げていきます

布地の風合いと金属の質感を併せ持つ金属布はミシン掛けも可能で、鞄や雑貨などこれまで考えられなかった分野の材料として活用することができます。その斬新さと、防水性や電磁波を遮断する効果も期待される機能性の高さから、テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』や各メディアで次々に取り上げられ、今後の展開に熱い期待が寄せられています。

11台の織機が稼働する工場。糸をセットするのに手作業で15日以上かかりますが、その後は半年以上、編み続けることができます。「糸が切れたらまた手作業で修復するので大変。30m編むのに、24時間稼働して3日かかります。メッシュによっては1日に3mしか編めないものもあるんですよ」と奥様の美枝子専務

メッシュのモアレをアートに転換した〈モアレゾ〉

そしていま、同社が業界をアッと驚かせた製品があります。それは、紙のように薄い〈金属布ワイヤーネット・フィルム〉を活用したディスプレイシステム〈モアレゾ〉です。

業界を驚かせた新製品〈モアレゾ〉は、オリジナル柄の制作が可能。お気軽にご相談ください

開発を担当したのは、同じ八尾市に工房・友井工芸を構えるアーティスト・友井隆之さんと小林治夫さん。重なり合うメッシュが作り出す“モアレ”の不思議な模様に“美”を見出し、裏側からさまざまな色を当てて浮かび上がらせる画期的なアイデアで、サイン・ディスプレイ、内装、パーテーションなどへの活用の道を拓きました。

「初めて金属布を見せてもらったとき、まず金網に見えないことに驚き、その手触りや波打つような模様にワクワクしました。日本が誇る、想像力をかきたてるすごい素材です。工業用品のイメージが強い金網ですが、デザインやアートの視点を加味すれば可能性はまだまだ拡がります」と友井さん。

 

「町工場の社長さんたちと話すと刺激的で面白い。アートの力で中小企業の人たちを奮い立たせて持ち上げていきたい」と小林治夫さん(友井工芸・営業)

 

「今は下火の製造業ですが、日本が誇る町工場はこんなことでは負けない。協力して斬新な製品を打ち出していきたいです」と友井隆之さん(友井工芸・アーティスト)

現在、〈金属布ワイヤーネット・フィルム〉が八尾商工会議所新館に採用されており、建築・内装インテリア等これまでにない分野に販路が拡がっています。

ジャンルにこだわらず柔軟な発想を持ち寄りたい

田中社長と友井さんたちの出会いは、地元の商工会議所。年齢もジャンルも違いますが地場産業や町工場を愛する気持ちで意気投合し、そのセンスの良さに感銘を受けた田中社長が共同開発を依頼しました。

「Rin crossingでも、参加企業同士でアイデアを出し合って、柔軟な発想で新製品を開発できたらいいのではないかと思います。また、零細であっても高い技術を誇る企業はたくさんあるので、そうした企業や製品を世界に発信してほしい。つくり手側は買う立場の意見がなかなかわからないので、バイヤーさんたちの意見もどんどん聞けるとうれしいですね」

株式会社網専
(カブシキガイシャアミセン)

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